オクジャ


観たい映画っていつも立て続けに公開されて、映画館に行くスケジューリングが追いつかない!ってなるのが常だけど、ここ最近、ぱたっと風がやんでしまった。映画館で観たい映画が無い!次のわくわくするような新作公開ラッシュは8月かな。そんなときに現れた救世主、NETFLIXでリリースされたポン・ジュノ最新作『オクジャ』。すばらしかった!!ただ、もっとも切実な感想が「これは映画館の大画面で見たかった!」であるというジレンマ。

韓国の山でのびのびと暮らす女の子とでっかい動物(オクジャ)の牧歌的な暮らしぶりの描写がポン・ジュノらしからぬほのぼの感。からの、エンターテイニングな激しいアクション、企業の合理性とエゴ、動物愛護主義の正統性とエゴが渦巻く世界にぐるぐると巻き込まれ、ある種の食物についてたびたび人間がつきつけられるおなじみの葛藤に心をえぐられてしまう濃厚な作品でした。

オクジャの知能の高さがところどころにうかがえ、ラストシーン近くで同族の動物がとったある行動と、その意思をくむオクジャの行動がもう、泣けて泣けて泣けて。

ジェイク・ジレンホールけっこう好きなんだけど、この作品ではずっと気持ち悪かった(褒めています)。ティルダ様は余裕の怪演。そしてTWDの愛されキャラであるグレンことスティーブ・ユァン君の登場にめっちゃテンションあがった!ハングルを話してるのが新鮮。ブレイキング・バッドのガスも出てたね。
ポール・ダノ君が言いはなつ"Translation is sacred"っていう台詞にしびれた。翻訳仕事における座右の銘にしよう。
スポンサーやレーティングのしがらみのないNETFLIXのすごさは数々の名作オリジナルドラマですでに実証済だけど、映画ビジネスの流れもぐいぐい変えていくのかな。それを懸念したカンヌ映画祭で本作品が冷遇された際の、「カンヌではいつもなにかしら議論が起きるもの。今年はラース・フォン・トリアがいないから、私がその役割を引き受けざるをえない」ってポン・ジュノが言ってたのがめっちゃウケた。