プラダを着た悪魔

パトリシア・フィールドすごい!ファッション万歳!という思いで溢れかえりそうな映画でした。とにかくスタイリングが素敵すぎる。編集部の衣装部屋の場面など、うらやましくて鼻血が出そう。

原作に描かれているアンドレアは、編集長も悪いけどアンタも悪いよ!と思わされるところが多い、わりとイラっとするキャラクターだったのだけれど、そこをうまく整理して、チャーミングで共感を覚えるキャラクターに仕上げているところがハリウッドマジック。アン・ハザウェイってあまりスタイリッシュなイメージが無いのだけど、それが幸いして、映画の中での変貌ぶりが際立っていた。洋服も本人も可愛くて、見ていてホント楽しい。
ミランダの人物造型も、小説だけでは鬼畜っぷりと名声とのバランスが今ひとつ理解しかねたけれど、メリルのミランダは、さすがに納得のいく大物オーラを放っていた。"That's all"という単純な台詞だけであんなにも小憎らしさを表現できるなんて、メリル・ストリープ北島マヤくらいだなきっと。

ミランダみたいに理不尽なところは全くないにしても、同じくらい要求の多いボス達に長年鍛えられたせいか、ああ、そういうのあるよね、と冷静に見てしまったり、ミランダの仕事に対する姿勢やある程度の腹黒さはわりと合点がいくものであると感じて、主人公の青さにふーん、と思ったわたしは、薄汚れつちまつた大人になつちまつたのかなあ。
明日からもがんばって高いヒール履いて楽しくお洒落して、それなりに(それなりなのか)仕事もがんばろうという気持ちに満たされました。