2018年1月 モントリオール 5日目: Au revoir, Canada と思いきや!!!

朝、Iの部屋を去る時に、ふなっしーの小さいぬいぐるみをこっそりと置いていったら、後で気づいてウケてた。梨、元気にカナダで暮らしています。

夜どおし雪が降っていたようで、車を走らせる前にワイパーや窓ガラスにみっしりと張った氷を取り除く作業が必要で、なかなか難儀していた。はじめはいちおう手伝ってみたものの、慣れてる人がさっさか済ませた方が早そうなので、車内でぬくぬく待機。

木の枝がこういう風に凍ってるのを初めて見た気がする。

朝ごはんは美味しいパン・オ・ショコラふたたび。これは本当にしあわせな味!

空港に着くと、屋内駐車場ではなく屋外の駐車場に誘導され、ターミナルまではシャトルバス。Iが私のスーツケースをバスに乗せてくれている間に、一人で凍った道の上をスタスタ歩いていたら、ステーーーンと鮮やかに転倒。数年に一回は必ず訪れる、懐かしい尾てい骨の痛み。

ずっと一人で生きてきたのに、この数日間ずっとつないでいた手を離した一瞬ですっ転んでしまうとは、わたしもすっかりやわになったものよ、と、ポエマーっぽくぼんやり考えながらIに気づいてもらうまで路上に寝転んでた(子どもか)。スノーブーツ最強かと思っていたら、凍った地面はやっぱり要注意なのね。
ギョッとしたIに助け起こされ、シャトルバスに乗り込みターミナルへ。さくっとチェックインを済ませ、残された馬鹿ップルタイムを時間ぎりぎりまで使い倒す。ちっちゃいMとちっちゃいIも、それぞれの持ち場にしばし戻るのです。

めちゃくちゃさびしいけれど、また近いうちに会えるであろうという安心感があるので、心はあたたかく軽やか。Iと一緒にいると、「ああ、なんていい子なんだろう!」と30分に一度は感動させられる日々だった。
セキュリティ入り口であまりにも名残おしげにしていたせいか、Iと離れて近くの係員にIDとチケットを見せると、ものすごく暖かい表情で深々とうなづかれた。

飛行機に乗りこんだ瞬間に寝落ち。ぐっすり眠って目覚めたら、あれ?まだモントオリールにいる!まだ滑走路にすら出ていない!出発予定時刻から30分以上経ってるんだけど。。。トロントでの乗り換え時間、もともと80分ぐらいなので不安がよぎる。
そこからさらにのろのろと動き、のろのろと凍結防止か何かの処置を施す場所で順番待ち。これ、冬のモントリオールなら毎日の出来事であろうに、もうちょっとサクサクできないのかな?やーーーーっと順番が来て液体がぴらーっとかけられる。

離陸したのは出発予定時刻から1時間後。もしかしたら寝てる間に何か遅延について案内があったのかもしれないけど、わたしが目覚めてから到着するまでは、一切何も触れられなかった。1時間の遅れに対する説明やお詫びがなくて軽くイラっとするのは、日系航空会社の謝罪に慣れきっているよくない習慣なのかしら?
トロントまでは1時間半のフライト。トロント発羽田行きの便の搭乗開始時刻まであと1時間。きっとものすごい追い風であっと言う前に着くんだよね、というかすかな希望にかける。

到着直前のアナウンスで機長が「乗り継ぎ便があるお客様は」とはじまったので、よし!地上係員が誘導したりしてくれてるのねきっと!って思ったら「周りのお客さんに声をかけて、早めに通路に出て、飛行機を降りてね。急ぎじゃない人は彼らを優先してあげてなるべく席に座って待ってて」って。それだけか。それだけなのか。
通路側の席のおじさん二人に、「東京行きの乗り継ぎ便があと20分で出発するので、着いたらすぐに通してもらっていいですか?」と話して快諾いただいたものの、隣のおじちゃんが「あ、俺このまえ同じような状況になって乗り遅れたよ!」と悲しい情報を教えてくれた。
急いで通路に出たものの、みんなのんびり荷物を下ろすので結局スタックしちゃうし、せめて飛行機のドア前に誰か地上係員がいてくれれば!と願うもだーれもおらず、空港内の近くのカウンターも軒並み無人。モニターで搭乗便のゲートを確認してダッシュ!しようとするも、先ほど転んで打った尻が痛い痛い。
果てしなく広い空港の中をいまだかつてないレベルで急いで進まなければならないのに、尻が痛くて思うように走れない。まるで悪い夢の中にいるよう。
ここまで乗って来たエアカナダのフライト3便とも全部ディレイしたし、まだ諦める時間ではない!と、息も絶え絶えに当該ゲートに到着すると。
ザ・無人
だーれもいない。完全に撤収。悪い夢の中にいるよう。
近くのカウンターにエアカナダの人がいたので「たーすーけーてー」と泣きついて一応ステイタスを調べてもらうと「Ohhhh、もう出ちゃったわねえ」。DA・YO・NE!カスタマーカウンターの場所を教えてもらい、とぼとぼと向かう。
今までわりとたくさん旅をして来たと思うんだけど、飛行機の乗り継ぎに失敗したことって一度も無かったので、かなりパニック&落ち込み。そして仕事に戻るのが一日遅れるの、かなり痛いんだよね。。。
カウンターの係員に代わりの便のアレンジを依頼し、待つこと10分ほどで「はい、用意できたよ!」と出されたチケットは、今夜トロントを出発して夜中の1時過ぎにバンクーバーに到着し、明日の昼前にバンクーバーから成田に飛ぶ便。
後から冷静に考えると、このままトロントにステイして翌日の同じ便で飛べば一番労力は少ない(実際、隣のカウンターでは日本人の係員が日本人の乗客にそのようにサジェストしていた)のに、なんかもうひたすらテンパっててOkayって言っちゃった。
もう預けてしまっている荷物は、私と同じ旅程で飛ぶの?と聞くとYesとのことで、「今夜バンクバーに着いたら荷物のピックアップは必要?それともスルー?」と聞くと、「バンクーバーで一旦ピックアップして」とのこと。
「ミールクーポンあげるね。20ドル分カバーするんだけどお釣りが出ないから、10ドルのクーポンを2枚発行してあげたよ!」と誇らしげに言われて礼を言う。今夜の宿のアレンジや料金は?と聞くと、「天候による遅延だったからどうにもできない。自分で手配して宿泊費を負担してもらうしかない」と言われてOkay,と力なく返答。

なんだこれ。モントリオールに帰りたい。
あらゆるやる気が削がれ、空港のベンチから動けない。とりあえず仕事をあともう一日やすまなければならないことを関係者に連絡。
想定外のトロントバンクーバーの街をちょっと楽しめるチャンス!次のフライトまであと7時間くらいあるから、トロントの街中に行って探索してみよう!とワクワクするのが従来の自分だと思っていたけれど、今回はその気になれない。これが。。。加齢?

とりあえず、滞在中にずっと気になってたTim Hortons (あちこちで見かけるコーヒーチェーン)のコーヒーとステーキサンドでお腹を満たす。

6時間ほど、空港の中をふらふらとさまよったり、Iとチャットしてモントリオールへの郷愁をつのらせたりしながら時間を潰す。Iはオフィスで手をすべらせてマグカップが割れ、親指をざっくりと切っていた。お互いに大変な日だね ;(
チケットをよくよく見ると、いずれの便も真ん中の席。閉所恐怖症的な傾向があるので映画館や2時間以上のフライトの座席は絶対通路側じゃないと落ち着かない。
自分が立ちたいと思うタイミングですっと通路に出られない状況がすごく怖い。あと、電車が進行中に20秒ぐらい止まるだけでも心臓がバクバクするのです。
搭乗ゲートのカウンターで係員に座席の変更を打診すると、翌日の東京行きは変更できたものの、バンクーバー行きは満席だから無理!とのこと。4時間半、どうにか耐えるしかない。。。

とにかく疲労が激しくて眠くて、ゲート前で座って搭乗を待ちながらなんども意識を失う。ようやく機内への案内が始まり、乗ったらすぐに爆睡。
ああ、だいぶ眠ったなあと目覚めると、あれ?まだ地上?出発予定時刻から1時間以上経ってるのに?今朝も同じ疑問を抱いたような。。。またか、エアカナダ。
Iと離れたさびしさ、度重なる遅延(もちろんこのフライトも最後までお詫びは無し)および帰国が一日遅れたことへの苛立ちと、精神的にハラハラし、空港で無為に過ごした一日がもたらしたとてつもない疲労、通路側ではないことにより感じる閉塞感などがぐわーーっと混ざり合い、パニックアタックが勃発。
こうなると、どう呼吸したらいいのかよくわからなくなってきて、余計あわあわなっちゃうのよね。しばらくすると飛行機が滑走路に出て離陸したものの、息苦しさがハンパない。飛行機でこんなにひどい状態になったのって初めてだった。

さらに、通路側の隣の人がテーブルを倒してラップトップを広げたので閉塞感がさらに倍。もう無理!!!
思わず彼に「すみません、今ちょっとパニック発作が起きてるみたいで、ものすごく気分が悪いんです。すっごく申し訳ないんですけれど、通路側の席と変わってもらうことはできますか?」と声がけ。めっちゃいい人で、「うん、いいよー」と気軽に代わってくれた!よかった!
通路側に座ったらスーッと気が軽くなった。最初にパニック発作の自覚症状があったのは、デズニーのホーンテッドマンションで、飛び出すお化けのところで乗り物が3分くらい停止した時。あれ以来デズニーの乗り物系はいつも恐怖が伴うのです。けっこう途中で止まるんだよね。でも乗りたい。

バンクーバーに着いたのは午前2時。ヘロヘロになりながら荷物を待つ。
待つ。
待つ。
来ない。
そんな気はしていた。ラゲッジのカウンターに並び、今日起きたことをくどくどと話して調べてもらったところ、結果として荷物は東京までのスルー扱いになっていて、ここでは出てこないことになってる、との説明。「バンクーバーには着いてるの?」と聞くと「うん。来てる。念のため明日またカウンターでダブルチェックしてみて」とのこと。歯ブラシとか髭剃りとか(ストレスでひげ生えそう)が入った緊急お泊まりキットをもらい、タクシーで近くのホテルに。
普段、長距離便だと基礎化粧品は必ず持ち込むのに、今回はいちおう昼便だし帰るだけだしね、と油断していたため何も手元にない。着の身着のまま木の実ナナ。とわびしく呟く。
本当だったら今ごろ羽田に着いていたのになあ、とくよくよしながらお風呂にゆっくり浸かり、かすかに復活。眠りに着いたのは午前4時。長い、長い一日だった。