Singapore: Day 2

marik2005-11-26



シンガポールでのデビッド・タオ氏のコンサートの様子を覚え書き。途方も無く長くなってしまいました。


Indoor Stadiumに入ると、目の前には熱帯雨林のセット。中央には不時着したらしきヘリコプター。9年ほど前に隣のNational Stadiumで見たマイケル・ジャクソンのコンサートに出てきた戦車を思い出しました。会場に2トーンヘアカラーの見覚えある紳士がいるなあ、と思ったらデビタオさんのお父さんだった。夫婦で来場されていて、後日報道を見たら両親の結婚記念日のお祝いにシンガに招待したんだ、というようなことを息子さんはおっしゃっていました。

開園時間から30分ほど送れて照明が落ち、まずは正面の大画面にてコンサートのスポンサーの紹介。Good Wood Park Hotelの名前もあったので、デビタオさんご一行は今回はそちらに宿泊されたのかしら。ブルネイの王様がこのホテルをとても気に入って買い取ろうとしたけど断られたので、カチンと来た王様は道路を挟んだお向かいに自分でホテルを建ててしまったという逸話があります。以上、いつ披露すれば良いのか分からないトリビアでした。

そして大画面に、「2061年、なんやかんやあって地球が大変なことになっていて、人類の危機を救うミッションに出たデビッドがなんとかかんとか」という文字がダーッと現れ、ヘリを操縦するデビタオさんの映像が登場、なにやら操縦が大変そうな様子。危ない!落〜ち〜る〜!というところで、恐る恐るデビタオさんを捜索する小芝居をしながらバンドの皆さんがステージに登場。そしてデビタオさんが、真っ白な服で空から降ってきた!ワイヤーに吊られてジワーっと降りてくる私の歌神。すげー。神々しいんだかなんだか。思わず爆笑。しかも、二回宙返りして、二回目はかなり「おおっと」ってな感じに手が慌てていたような。なかなか衝撃的なファーストコンタクトでした。近くて嬉しい。

第一声は“Singapore, how’re you doing?”。まずは『找自己』。初めて聞くデビタオさんの生声の伸びやかさにいきなりノックアウト。素晴らしい歌手だなあ。紙吹雪が舞う中『今天没回家』。なんか、昨天昨天言うてました。すごく楽しいのに、観客は大人しく座っているので、ちとジレンマ。こういう時に一人だけ立って踊れる猛者になりたい。『飛機場的十点半』R&B教父の真骨頂。そして『爱我還是他』を感情たっぷりに歌い上げるデビッド。あの長いプロモーションビデオが脳内をよぎります。

この曲のあたりだったかちょっとあやふやですが、白いジャケットを脱ぎ白いスパンコールのタンクトップに白いパンツという、ちょっとした仲本工事スタイルに。二の腕に筋トレの結果がしっかり出ていました。Soul Powerライブの時の自信なさげな二の腕を思うと、頑張れば良い体って作れるものなのだね、と励まされる思い。

スクリーンに三日月が映し出され、タオさんが北京語で何やら話しつつニ胡の音色が流れると、月がいつの間にか満月に。そして『月亮代表誰的心』。耳がとろける!『討厭紅樓夢』のイントロが流れ「立ってー」とのタオさんの呼びかけに客席もようやく立ち上がり、ほどよい温度に。続いて『RUNAWAY』を歌い終わると、スタタタタターっと舞台裏へ続く階段を元気に駆け下りて消えました。お召し変え?

再登場待ちの間、大画面ではデビタオさんが語り部の絵本のような映像が流れていました。林檎の木と一人の少年の友情話といった趣。やがて大人になった少年が「なんだか憂鬱なんだよ・・・」と悩みを吐露したところ、木が「船で広い世界を旅して回るといいよ」というようなことを言うくだりがちょっとグッと来ました。やがて林檎の木も青年も老い、静かにこの世を去り、青年が旅の途中で集めた種が沢山の木に成長する、というのが私の脳内北京語スーパー翻訳なのですが、間違っているかもしれません。

デビタオさん登場。赤ジャケットに白シャツの胸はだけ過ぎ衣装で!肉眼であの胸筋を拝見できる日が来るとは!ピアノ伴奏による『沙滩』『夜来香』『望春風』『流沙』『ANGEL』と、これでもかというくらい美しいメドレーに耳がトロトロに。『望春風』は本当に本当に大好きな歌なので、彼の熱唱に泣きそうになりました。

ピアノを弾いている呉慶隆さんはSoul PowerのDVDでも気になっていたのだけど、デビタオさんが心底信頼しているようでほほえましい。曲の合間にコーラスの女子がお色気振りまき慶隆さんにちょっかいを出した時、「彼は僕の物だ!」と必死でプロテクト。慶隆さんはシンガポーリアンとのことで、皆にシンガポーリアンであることを証明してみせて、とタオさんに強要され”No need-lah”と恥ずかしそうに言ったのがウケました。『SUSAN説』を歌い始める前、客席にいるお母さんに何か語りかけていたような気がしたんだけど、気のせいかな。『小鎮姑娘』『MELODY』『寂寞的季節』を歌い終えるとまたしてもタッタッタッタと元気に舞台下へ。

二胡や横笛の音色が流れる中、スクリーンではビル群を覆うナゾの生命体のCGが緊張感を煽ります。おお、このイントロは・・・と鳥肌が立った所にパンキッシュな黒い衣装でタオさん登場。『鬼』熱唱。格好よろしかったです。ライブ中何度かギターのピックを投げていたのだけど、あんまり遠くまで飛んでなかった。何度目かに客席に届いた時、一瞬すごく嬉しそうな顔をしていたのが印象的でした。

『鄢色柳丁』もゴリゴリにロックな感じで飛ばします。今回、バンドと共に弦楽器団が舞台に出ていて、女子十二楽坊の代わりに弾きまくっていた『孫子兵法』はかなり音が厚くて聴き応えがありました。『天天』では”I'm gonna break the wall”(と聞こえ、ファンとの距離を縮めたいんだね、ナイス!と思ったんだけど、シンガの媒体のウェブサイトhttp://stars.zaobao.com/pages2/taozhe051127.htmlを見たら”I'm gonna break the rules”と言ったと書いてあった。そっちの方がいかにもシンガポールっぽい。どっちだろ?)と言うなりステージから降り、客席ギリギリの柵まで歩み寄って来たタオさんにファン殺到。

ステージ前方にタオさん、ギター、パーカッション、コーラスが座り、「アンプラグドやるよー。ギターと、声と、ハートだけで演奏するYO」とキメ台詞。『普通朋友』『二十二』『無縁』を演奏。コーラスのDavid君もシンガポーリアンで、江戸むらさきの小さい方に似ていた。歌うまい。タオさんの声にかぶっても違和感が無いのびやかさ。途中メインで歌うパートなど、聞き惚れました。

確かこのあたりで「お客さん、どこから来たんですか?」トークだったかと思います。シンガのファンが集団でバナーを持って超ノリノリで、タオさん嬉しそうに構っていました。日本から来たお嬢さん達がジャパーン!と叫んだら「ハイー、ソウデスカー」と日本語で応えていました。うらやまC!

『宫保鶏丁』では一瞬歌詞忘れでエヘ!っとなったタオさんがキュート。そして『MY ANATA』キタ!ジェイの『忍者』と並ぶキテレツ日本ソング。紫の照明に照らされながらシナ作りまくって「ヨッジハンデース」と歌うデビタオさん。タンゴまで踊りだしちゃったよ。キモい!でも大好きー!たまらない一曲でした。

そしてここから怒涛の洋楽メドレー。常々デビタオさんの英語の歌を沢山聴いてみたい、と願っていたところにこの演出。しかも80年代の曲ばかり。もうほんっと、シンガポールまで来てよかったーー。値千金!”Sweet Child o' Mine” “Rosanna” ”Shout””Hard To Say I 'm Sorry”あたりでもう感涙だったところに”Careless Whisper”を情感たっぷりに歌い上げるタオさん。ほんっと、こういうの見たかったのー!! 最後は”Uptown Girl”で締め。心底楽しかったデス。”Specially for you” と言っていたので、シンガ公演だけの特別なセットリストだったのかな?
『DEAR GOD』でクールダウンし、ピアノ引き語りの『愛很简单』。♪I LOVE YOU 我一直在這裡 一直在愛你〜と会場大合唱。そしてスタスタと舞台裏の階段を降りて行って本編終了。

アンコールはTシャツにデニム姿で登場し『王八蛋』。やっぱりこんなシンプルなスタイルのデビタオさんが一番良いわー、安心するわー、と思っていたら、なんか眩い!よく見たらカーキ色のTシャツにはピンクの、デニムには白のスワロフスキーがギランギランに散りばめられていました。しかも首には春先頃に流行ったスパンコールの細いマフラー的なものを巻いていた。もー、普通でいいのにー。『蝴蝶』はシンガポールで人気があるようです。ラストは『就是愛你』。温かくて大きくて、良い歌だなー。いつまでもいつまでも聞いていたい歌声ともこれでお別れ。なごり惜しくもやっぱり颯爽と階段を下りてタオさんは消えていきました。最後にまたビューンと宙吊りで上って退場だったら、パンチが効いていて良かったかも。台湾公演では是非。

ゆっくり座って聞く時間も多かったので、初めてライブ中に曲順のメモなど取ってみました。意外と「太平盛世」からの曲が少ないという印象で、帰り道に『愛是個什麼東西』も聞きたかったなー、と考えていた気がするのですが、シンガの記事の中には『愛是個什麼東西』を歌ったという記述があってちょっとビックリ。歌ったっけ?やっていたら絶対♪あーいしゅーごしゃんまとんしーって一緒に熱唱したハズなのに全く記憶にない・・・。タオさんはシンガポーリアンと同じで英語を話している途中でいきなり北京語にスイッチするので、MCをキャッチするのに骨が折れました。たぶん何か、色々と良いことを北京語で言っていたような気がします。

トータルで2時間45分ほどのショー。とにかくその場にいる人たちに楽しんで欲しい、そして歌うことが気持ちよくて仕方ない、と言う陶さんの思いが伝わってくる素晴らしい時間でした。つっこみどころ満載の衣装も楽しかった。今年行ったコンサートの中で一番良かった。今年見たラインナップの中にはデビタオさんも大好きなスティングさえもが入っているので、私の中ではスティングを超えたヨ、やったジャン!とキチキチさんに伝えたいでも届かないこの想い。