十二月大歌舞伎

リアル子どもたち(かわいい!)が舞台にいっぱい登場し、亀蔵さんの怪演に爆笑し、ほのぼのしたお話なのかしらと思っていたら、壮絶な忠誠心の物語だった。寺子屋に預けた自分の子ども(その寺子屋でかくまっている高貴な身分の子どもの身代わりに、命を落としてしまう)を迎えに来た福助さんが、自分が斬られそうになったときに言ったセリフでどーっと涙が出そうになった。すごい筋書きだなあ。
かなり前の方の席で見ていたので、舞台上で燃やしているお線香の山がすごい勢いで燃えているのがハラハラ気になってしょうがなかったけど、皆さん大熱演ですばらしかった。勘三郎さん演じる松王丸が出てきた瞬間、舞台の上の空気が変わるのを感じた。やっぱり勘三郎さんこそが北島マヤだと、いつものごとく思った。恐ろしい子・・・(白目)。

  • 粟餅

三津五郎さんと橋之介さんの軽やかな舞が楽しい舞踏劇。粟餅というものを杵でつく場面があって、小道具のつくりものの餅のやわらかそうな感じがかなりおいしそうだった。

  • ふるあめりかに袖はぬらさじ

すごく耳に覚えのあるタイトル、と思ったら有吉佐和子が書いたお芝居なのですね。横浜が舞台の歌舞伎なんて珍しいなー、とわくわくしながら見ていたけれど、見終わった印象としては、これは歌舞伎ではなく歌舞伎スターが総出で演じる時代もののお芝居だと思った。
弥十郎さんのアメリカ人っぷりが非常にかっこいい。英語も滑らかで、ダメ通訳とのロスト・イン・トランスレーションっぷりが可笑しい。途中で、ものすごくハンサムな人が舞台にいる!とドキドキしたら、海老蔵だった。勘太郎が幕末の志士を演じているところは、新撰組を彷彿させて懐かしい。でもあれって新撰組とは立場が逆なのかな?あれ?今日の勘太郎は攘夷?日本史がよく分からない。
そして玉三郎オンステージといった感のあるこの舞台。おもしろうてやがて悲しき女かな、というちゃっかりしたおばちゃんの雰囲気が、今までに抱いていたしっとりした玉三郎像とはまったく違って面白かった。
あ、あと七之助!見るたびに本当に成長を感じる。亀遊役の可憐なこと。女性として完全に負けている自分を感じました。