ダージリン急行

なんてことのない服を着ても絶対にサラッとお洒落に見えてしまう人のように、ウェス・アンダーソンは何を撮ってもそこはかとなく洒落た映像になるなあ。インドの列車にはもう二度と乗らなくていいと思っていたけど、映画を観ているとキュートな乗り物に思えてくるアンダーソン・マジック。主役の三兄弟がそれぞれ面倒くさいタイプで、面倒くさいことばかりしでかしているのだけどどこか愛おしい。しっくりいかなかった間柄がほぐれていく感じや、余計なものがそぎ落とされていくさまが、嫌味のないスタイリッシュさで優しく描かれていて、心の中にどんどん気持ちのよい風が吹きこんでくる快作だった。