ぼくの大切なともだち Mon meilleur ami

親友と呼べる存在がいないことを指摘された男が、10日間で親友を作ろうと四苦八苦する話。物語の転がり方がまるで恋愛映画のようだわ、と思いながら観ていました。ラブコメディのメソッドを親友さがしに導入すると、洒脱でキュートな作品になるのだな。
ダニエル・オートウィユ演じる主人公の人格的に問題アリな部分がさりげない会話のはしばしに現れていて、しかも本人がまったく自覚が無いのが可笑しいのと、タクシー運転手役の人の弱々しいほっこり笑顔がいいかんじ。クスクス笑って後半でドキドキ(日本でも同じ内容で作られていたあるTV番組が出てくるのだけど、あの人が日本版に出ていたら、あのタメの部分で緊張のあまり確実に失神しただろうな、と思った)して、じんわり来る上質な映画だった。パトリス・ルコントの作品って大学時代にものすごくハマっていたのに「橋の上の娘」以降の作品をなぜか全然観ていなかったのだけど、ああ、やっぱりこの人の語り口とユーモアや切なさのさじ加減は大好きだ!と思った。さかのぼって観てみなければ。