WALL・E/ウォーリー

この映画を作った人たちの想像と創造の力を、私は心から愛する。ウォーリーにこういうことをさせよう、こんな場面を作ろう、このメッセージをさりげなく盛り込みたいよね、というアイディアが生まれディスカッションされる製作の過程を、ゼロの状態からずっとそばで見ていたかった。ピクサーで働きたいと本気で思った。ピクサーでランチ・ミーティングの手配をしたり議事録をとったりしたい。

でも、もしも私が10歳未満の子どもだったらば、ものすごいトラウマになったであろう作品だった。終末後の世界や○○の退化(ネタばれしそうなので伏せます)や文明の再生など、強烈なテーマが山盛りだもの。ウォーリーのキュートさと、彼が暮らす終わってしまった世界の絶望的に乾いた様子のギャップが怖すぎる。コーマック・マッカーシーの「ザ・ロード」よりもずーーっと恐ろしかった。寂寥としたこの世の果てでウォーリーが律儀に働いたり慎ましく楽しんだりする冒頭の描写の数々が、あまりにも愛らしくて切なくて、大泣きしてしまった。イヴと出会ってからのすべてのやりとりもたまらない。2009年のけなげ男子オブ・ザ・イヤーが早くも決定。

イヴの、仕事ができる女っぷりが最高。見習いたい。そして掃除ロボットのモーが可愛いすぎて困る。まめまめしい姿にキュンキュンした。