Love, Rosie/Cecelia Ahern

幼馴染のロージーとアレックスの人生を、二人が授業中に渡しあったメモ、手紙、e-mail、チャット、グリーティングカードなどのやりとり(二人の家族や友人など、他の登場人物との同様のやりとりも含む)のみで綴った作品。
すっごーーーく面白かった!大親友の男女が結ばれそうでなかなか結ばれない、という運命の絶妙なすれ違いが怒涛の勢いで描かれていて、ぐいぐい引っ張られる。本の構成上、実際に何かが起きているときのことはリアルタイムで記述されていないので、メールや手紙に書かれた事後報告で渦中の現場の様子を想像するのが楽しい。
端々にちりばめられた笑いのセンスが非常に好みで、メールや手紙のオチのつけかたに何度もふきだした。簡潔なやりとりの積み重ねの中で、登場人物のキャラクターが生き生きと伝わってくるのが見事。ロージーの苦労人体質や間の悪さがリアルで、親しい友だちの波乱万丈な人生を見守るかのようにハラハラしながら読み進みました。そして、家族や友人同士のあたたかな愛情が全編に満ちていて、とくに後半はだらだら泣いてしまった。
作者のセシリア・アハーン(そこはかとなくなまめかしい響き)がPSアイラブユーの原作者だというのは存じ上げていたけれど、アイルランドの前首相のお嬢さんだとは知らなかった。しかも若くてキュート。人生経験をたっぷり積んだそれなりの年齢の女性が書いたと思っていたので、びっくりおよび感嘆。PSアイラブユーの原作は読んだことがなかったけど、あの映画で感じたとても好ましいユーモアや独特のぬくもりは、この作者が持ち合わせている個性なのかもしれないと思いました。彼女の作品は今後ずっとフォローしていきたいです。