グッド・バッド・ウィアード The Good, the Bad, the Weird

marik2009-09-02

むせかえりそうなほどのダイナミズムと疾走感に冒頭からずっと魅了されっぱなしで、この映画が好きすぎる!とただでさえクラクラし続けていたというのに、後半の、全力疾走する馬の上でピンと背筋をのばし、長い銃身をくるりと回しながらズドンズドン撃つチョン・ウソンが、もう、もう、信じられないほどかっこよくて気絶しそうだった。レッドクリフ趙雲といい、わたしは、仕事のできる、馬に乗った男に弱いのかもしれない。

1930年代の満州国を舞台にすると、こんなにも心おどらせる冒険活劇ができるのか、と目を見はる思い。実際の歴史的背景を考えると複雑(いまちょうど「ねじまき鳥クロニクル」を読み返しているところなので特に)なのだけど、画面の中の世界だけに集中してみると、朝鮮と中国と日本が交差する混沌がたまらなく魅力的。そこに西部劇のエッセンスがからまって、これまでに見たことのない新しい世界にであってしまったことに心の底から興奮してしまった。オリエンタル・ウェスタンとは言いえて妙。この分野で今後もいろいろ作られたらいいのにー、オリエンタル・ウェスタンがもっと見たい!と願う一方、この作品を超えるものはできないかもしれないとも思う。

イ・ビョンホンの作品を今まで見たことがなくて、彼のよさがまったくわからないと思っていたけれど、あー、ごめんなさい!というきもち。まさしく"the Bad"を体現した非道な悪っぷりが最高にクールで色っぽくて、目が離せなかった。ソン・ガンホはまんべんなく愛嬌やおかしみをかもし出し、いたるところで笑いをかっさらっていきながらも、一筋縄ではいかない人生を送ってきた感が要所要所でにじみ出ているところが本当に素晴らしかった。あと、彼が話す北京語がすごくかわいい。上記の馬のシーンも最高だったけど、チョン・ウソンが片手で綱にぶらさがってびよーんと宙を舞いながら発砲するシーンも鼻血が出そうなほど素敵だった。チョン・ウソンかっこいい祭り。