2月〜4月に観た映画もろもろ。

  • 8月の家族たち

世知辛い気持ちになる家族の物語でしたが、濃厚な展開に目が離せなかった。舞台劇が元になっているとのことで、台詞のリズムがきれいだな、という印象をところどころで受けました。カンババッチさんがアメリカ英語を話しているのが新鮮でときめいた。メリル・ストリープジュリア・ロバーツの取っ組み合いのケンカだけでご飯3杯くらい食べられそうな濃い味付け。そしてユアンとかアヴィゲイルちゃんとかサム・シェパードとか、隅々まで豪華な配役で満腹でした。

メリー・ポピンズ』のほのぼのした制作裏話かと思いきや、悲しくも優しい、"Saving Mr. Banks”という原題がじわじわ沁みる、魂の救済の物語でした。エマ・トンプソンが演じるP.L.トラヴァースがものすごい偏屈で辛辣で、いくらなんでもキャラクタを盛りすぎなのでは、と思ったら、ラストで流れる実際のトラヴァースさんとのミーティング音声が映画以上に厳しくてウケた。

  • LIFE!

現実から踏み出す勇気の清々しさと、現実を生きる美しさの両方がバランスよく配分されている、気持ちのよい映画。グリーンランドのダイナミックな自然に心ひかれました。ベン・スティラーの名演&名演出はいわずもがな、ショーン・ペンがすごく高級なかんじに見えた。

子どものころからディズニーアニメの人間の造形が怖くて、この映画も「やっぱり怖い・・・」と始めは怯えながら観ていたのだけど、途中から作品のあまりの面白さに絵柄が気にならなくなった。色々つっこみどころはあるけれども、なんかもういいの!面白いからいいの!と素直に思える。Let it Goはもちろん英語版も日本語版もエンドレスで聴き続けています。スペイン語版の"Libre Soy"も歌えるようになりたい。イディナ・メンゼルってgleeの印象が強い(レイチェルと歌う"Poker Face"が特に好き!)んだけど、何気に『魔法にかけられて』のサバサバした弁護士役ででディズニー映画にさりげなく出てたよね。

南北戦争前のこういう時代の作品を見るたび、奴隷制度マジ許せない!なんて狂った時代!と憤りを感じるけれど、では現代にこのような狂気じみた偏見がまったく存在していないかというと、そうでもないということに暗澹たる気持ちになったり。あと、自分がその時代に身をおいているときだったら、どういう振舞いをしていただろうかと考えてしまう。途中で古谷一行が出てきて至極まっとうで理性的な意見を言うので感心してたんだけど、よく見たらブラッド・ピットだった。プロデューサー特権で一番好感度高い役をゲットしたのかな。頑なに黒人霊歌的なものを歌わなかった主人公がとうとう歌う場面での、諦念とある種の開放感が入り混じったよう表情が素晴らしかった。キウェテル・イジョフォーって今回お初にお目にかかったかと思ってたけど、ラブ・アクチュアリーのあのキュートな結婚式をキーラ・ナイトレイと挙げた旦那さん役の人なのか!カンババッチさんの、基本いい人なんだけどゆがんだ時代の風潮に抗えない腑抜けっぷりが絶妙。

  • ダラス・バイヤーズ・クラブ

絶望からの生への執着が心をゆさぶる映画でした。

この監督のシビアとほのぼのが入り混じった作風ってほんと好き。キャラクタ造形もいちいち絶妙。ようやく代打でニュース番組のキャスターになれたお兄さんの絶妙な哀愁が特にツボ。そしておじいちゃん!こうやってよくできた映画で見るとなんともいとおしいけれど、あの話の通じなさ具合が自分の父親の天然っぷりと重なって、ちょっとしょっぱい気持ちに。あのご子息のように優しく親孝行できる自信がない。。。
ダラスバイヤーズクラブと同じに日に立て続けに見たんだけど、たまたま二本とも素晴らしいタイミングで女性が"Go f*** yourself"とびしっと見栄をきる場面があってちょう爽快だった。あのお母さん役も最高ですね。