バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)

疲れる!けど面白かった!
過去の栄光という呪縛、己の存在感の希薄さへの焦燥、人に自分を認めてもらいたい、自分の人生を立て直したい、自分のすべてをかけてこの舞台に挑む!自分!自分!!自分!!!ぷぎゃー!!!!という濃厚な自我の渦に巻き込まれてぐったりでした。そして見事につながったワンカットの映像の継ぎ目をどうにか見つけ出そうと画面を凝視してしまうことによる疲労もなかなかのもの(それはわたしのせい)。
途切れない映像のなかで虚実が入り混じる様子がとても心地よかった。そしてブロードウェイの町並みだけはゆるがないリアル。オペラ座の怪人でおなじみのMajestic Theaterが幾度もがっつり写りこんでいるのが嬉しかった。
いきなりロバート・ダウニー・Jrが軽くディスられていてウケてたらそれは序の口で、ハリウッドへのピリっとした毒がそこここにちりばめられていて、台詞がいちいちおもしろかった。脚本も映像も音楽も監督の志も役者たちのパフォーマンスもすべて最高の仕事がなされていて素晴らしかった。幾通りもの解釈ができるラストの余韻もいい。
共演の女優さん、ナオミ・ワッツに似ててきれいだなー、とずっと思いながら見てたんだけど、本人だったのか!いつまでたってもどうしてもナオミちゃんの顔をきちんと覚えられない。。。ザック・ガリフィアナキスが、他人に振り回されるほうの役で出てるのって初めて見た気がして新鮮でした。