江國香織「間宮兄弟」

寒い冬の日に照る太陽のような目線の物語だった。読み始めは、もしも満員電車で横にこの兄弟が立っていたら、むむむむ、とちょっと引き気味になるかなあ、と思ったものの次第に「ああ、どうかこの二人が悲しい目に遭いませんように。彼らに優しい愛が訪れますように」と切実に願い、ページをめくるごとにドキドキしながら読んでしまった。しかしですな、じゃあアンタが付き合えばいいじゃん、と言われたら、首をかしげて曖昧な笑顔を返すかな。

江國香織の小説にはいつも、あ・この言い回し好き好き!すんごいツボ!とキイキイ騒ぎたくなる言葉が随所に散らばっているのだけれど、今回のVIPは「おもしろ地獄」。日常生活に支障をきたすほどに楽しすぎるものごと(この小説ではジグソーパズルがそう称される)を表す言葉としては白眉じゃあありませんか。

小説の余韻にホオ、と浸りながらテレビをつけたら、通販大好き春樹先輩(劇団ひとりの劇団員)が出ていてびっくり。モーニングの矢口さんとなんか司会やってる。もちろん茨城から愛車のマークIIを転がしてでやってきたのでしょうね。