ひと

勘三郎襲名の特集をテレビでやっていた。勘三郎が舞台に出ると、観客はとにかく彼を愛さずにはいられない、というムードが場内に満ちる気がするのだけど、スタッフや周囲の役者さんにも満遍なく愛されているように見えた。
以前、平成中村座の帰りに、舞台が終わって一人で歩いている勘九郎さんに遭遇した時、何故かとっさに「お疲れ様です」(関係者でもないのに、誰だよオレ)と言ってしまったら、「どうもありがとうございます」と会釈して去って行った。さっきまで舞台の上でキラッキラしていた人がビニール傘を差して一人、雨の中そっと遠ざかる静謐な後ろ姿がすごく印象に残ってる。