コクーン歌舞伎『桜姫』千秋楽

あー、なんだろう。何の涙だろう。最後の場面で、桜散る中でもがく狂気の桜姫の姿にジワワワワーンと来た。悲しいわけではないのに。なんだろ、人が作る物がこんなにも美しいなんて、という感動なのかいな。コクーン歌舞伎がある時代に生まれて良かった。

なんとも艶っぽい話で。このお話をフランス映画でリメイクしたら、迫力あるドロドロ映画になりそうな気がする。福助さんのファムファタルっぷりが素晴らしかった。ワルな橋之介さんの色気も。きっと江戸時代の芝居小屋で婦女子たちは、権助を見てキャッとなっていたのだろうな。平場で靴を脱いで横膝でみていたので、みずからも江戸の女子気分に。

扇雀さんはほんっとに、江戸時代のおばちゃんをやらせたら天下一品。逐一笑った。扇千景が日本という国に施した一番すばらしい事は、扇雀さんを生んでくれたことだよ。大臣ありがとうございます。

そして勘太郎七之助が輝きまくっていた。赤っ面っていうのかな?悪役なんだけど、すっとぼけている悪五郎(この、身もフタも無い名前よ!)のカンタロゥと、激男前なシッチーのドタバタを永遠に見続けていたい思いだった。ピューっと何度も横を駆け抜けて行った。若さよ。宙吊り七之助の美麗な姿にため息。わりと当たり障りの無い良い人っぽい役柄だけど、しっかり存在感があった。

観客総立ちのカーテンコールで、役者が舞台から降りて通路を歩き始めた頃、バズーガ砲的なもので桜の花びらが散布された。ものすごい勢いで客席にも降り注ぎ、一面ピンクだわすぐそばにシッチーやカンタロゥさんはいるわで、こっちが狂って髪ふりみだしそうな気持ちでした。桜大量噴射は、千秋楽のスペシャルだったようで。

松じゅんタンが客席にいた。モモだ!久しぶりにジャニーZUの子を生で見たけど、イイね。眼福。

あと、昨日生まれて初めて訪れた鎌倉の長谷寺が、舞台最初の場面に出てきてビックリ。