The 有頂天ホテル

オープニングで俳優さんの名前が出てきただけで、「これで映画何本分撮れるだろう?」と想像してしまったほどに豪華。しかもそんな豪華メンバーの無駄使いが一切無い。誰もがベストのパフォーマンスを見せてくれていた。
普段映画を見るとき、それがどんなに面白い作品でもなんとなくボーッと別のことを考える瞬間(この後なに食べよう、とか、次の日の仕事のこととか)が必ずあるのだけど、この映画は久しぶりにものすごく集中してしまい、更には映画のセットの中に自分がいるような錯覚さえ覚えた。「終」の文字が出た時、「あれ、ここどこ?ホテルは?役所広司は?」とぼんやりしていて、外は大雪で、すぐ近くでは堀江社長が悶々と対策会議を練っているであろうだろう、というような現実がにわかには思い出せなかった。

それほど夢中になるくらい、楽しいものが凝縮された幸せな映画だったデス。芹沢鴨の明るいヴァージョンみたいな感じの佐藤浩市が素敵。あと、梶原善を久しぶりに見たわよ。米国役者修行から帰ってきていたのだね。