胡同のひまわり

冒頭のシーンの、鳥が舞うにも似たカメラワークで胡同の様子を長回しで映すところが最高にワクワクしました。70年代に六合院に暮らしていた人々の息吹が伝わってくるようで。文革の最中の庶民の子どもたちの生活が、意外なまでに明るさに満ちていたことに驚きました。
主人公の父親の頑固さがちょっと尋常じゃないのだけど、文革によって奪われたものへの絶望、子どもへの愛、生真面目さが充分に伝わってくるので、お父さんの気持ちも分かるし、でも子どもが感じる父親に対するどうしようもない苛立ちや閉塞感もすごく理解できて、自分もその家族の中に入り込んでしまったかのように一緒にイライラしてしまった。母親や、息子に関わってくる女性たちに対しても同様に共感できるところが多く、とても丁寧に人物を描いている映画だと思いました。猫がかわいかった。