ローズ・イン・タイドランド

marik2006-08-08

すごく好き。しみじみと。確実に違う世界に連れて行ってくれる。ほとほと呆れてしまうような、切ないような、寂しいような、そしてものすごく可笑しいような、たくさんの感情がじわりじわりと脳内で交じり合うかんじ。子どもの「ごっこ遊び」に付き合って一緒にテンション上げているうちに、なんとなくトランス状態になってしまうような、そういう気持ちよさが。

主人公のジェライザ・ローズ役のお嬢さんのアンファン・テリブル具合がものすごい。子どもの天井知らずのクレイジーさを存分に体現しつつ、色っぽい。ほとんどこの子の一人芝居で画面を持たせているような部分もあり、充分に映画を引っ張る力に驚かされた。

プロダクションノートを見たら、テリー・ギリアムがこの映画を撮るにあたってイメージした風景がワイエスの「クリスティーナの世界」だった、と書いてあって超納得!!MOMAであの絵を見たとき、その寂しく誇り高い風景にとても心惹かれ、絶望と希望の両方を感じたのだけれど、まさに同じ匂いがする映画だった。今見直してみたら、家の外観などが、あの絵のまんまですね。
「ブラザーズグリム」が、ギリアム監督にしてはおりこうさんな作品だなあという印象を受けたので、この映画を見て、イッちゃっているギリアムはまだまだ健在!と嬉しくなってしまいました。やっぱりこの人の作る映像世界は、世界で一番好き。