九龍城探訪 魔窟で暮らす人々 - City of Darkness 

ディーーーーーーープ。かさねがさね、返還前の香港に、そして九龍城に行ってみたかった。でも、いざ行けば行ったでわたしはヒヨって、奥深くまでは足を踏み入れられないんだきっと。ごく普通に生活を営んでいた人たち(インタビューの時点ですでに退去してしまった人も、まだ残っている人も)の談話が数多く載っていて、生のエネルギーの眩さにしびれつつ、写真では残されていない、暗闇にひっそりと生きていたであろう人たちに思いを馳せてみたり。しかしこれらの風景に、郷愁に似たきもちが湧き上がるのはなぜかしらん。昔、パール・バックの「大地」を読んだとき、わたしの前世は中国の農民だったに違いないとなぜか思ったのだけど、農地を捨て香港に流れ着き、九龍城に身を隠していた時代もあったのかな(不思議っ子きどり)。

この書籍を見ていたら、昔の香港映画を思い出しました。九龍城の中で実際に撮影した映画で、大陸から香港に来た男たちが宝石店だったか銀行だかを襲う計画を立てるの巻、みたいな内容だったんだけど、タイトルが思い出せない。仲間同士で拳銃をスチャッと向け合うシーンがレザボア・ドッグスのあのシーンそのまんまで、なるほどタランティーノはこの映画を見ていたのか、と膝を打った作品。久々にあの映画が見たい。映像の中でいいから、九龍城の暗闇を感じたい。なんだっけ?