週末DVDマラソン

ブルーハーツ全盛期の高校時代に女子バンドをやっていた人間(オレ、オレ!)にとって、むせかえりそうなほどの懐かしさがうずまく映画だった。初めて演奏する曲を最初に皆で合わせた直後の「むむむむ・・・」という沈黙と「・・・ふへへへへへ・・・・」という苦笑いとか、練習の合間のだらだらした感じ、そしてブルーハーツの色あせないまっすぐな楽曲。脳の奥深くに置き忘れていた感覚が、映画によって呼び起こされるのが幸せな気持ちだった。

映画の中で女子たちが部室にあった段ボール箱を開けると、プリプリ、ボウイ、ユニコーンジッタリンジンといった、私が高校生でバンドをやっていた頃にまさに自分たちがカバーしたり、対バン(死語?)がカバーしていたラインナップの楽譜やカセットが出てくる場面で、ああ、私の青春はいまや段ボール箱に入ったクラシックとなってしまったのか・・・としんみり。そして画面の中の彼女たちのリアルタイムも、十数年後にふと懐かしく思い出す時間に変容していく予感をほんのり漂わせた、語り過ぎない、それでいて丁寧ないい映画だった。

かわいい男子がなにやら一生懸命ハングルを話しているわね・・・と、よーくよく見てみたら松山ケンイチきゅんだった。まさか出ているとは思わなかったので、喜びの奇声を上げてしまった。そんな素敵な松山キュンへのペ・ドゥナちゃんの応対が可笑しかった。ペ・ドゥナちゃんは満遍なく最高だった。ハングルで演技しているときでも、あのすっとぼけたキュートな空気感をかもし出しているのかな?

エッグタルトで有名な茶餐廳を舞台に繰り広げられる物語ということで、オープニングタイトルの映像がエッグタルトの製造過程になっているのが素敵すぎて失神しそうだった。成型したタルト生地に、とろとろーと注ぎこまれるカスタード!
ン・マンタにほんのり泣かされた。マンタ最高。チャウ・シンチーはもう、いわずもがなの面白さ。チー坊(スー・チー)も可愛らしい。エリック・コットのあまりの愛らしさに、どうしようかと思った。後半では、ほぼその他大勢的な役で林雪が出てきて、まさか出ているとは思わなかったので、喜びの奇声を上げてしまった。
豪華な出演者にニコニコしつつ想定内の人情・愛情話を楽しむ、いかにも旧正月の香港映画な、ハッピーな作品でした。

生きていると人はどうしても汚れてしまうし傷ついてしまうものだよなあ、とまざまざと思い知らされるし、ハッピーな出来事はほとんど描かれていないのにも関わらず、殺伐とした気分にならないのは、出てくる人が皆、ディスコミュニケーションの状態ではないからだと思った。人と人とが何かしらの感情をぶつけ合うところに、救いを感じるというか。そういう意味での”Crash”なのかな。
原始のマン(ブレンダン・フレイザー)のシュッとしたエリートっぷりがハマっていた。

サモ・ハンこわいネー。非情な上にアクション偏差値の高さも尋常ではないのだから、絶対に敵にまわしたくない。思わず夜泣きしそうな存在感だった。
ドニー・イェンとサモハンの対決シーンは、はげしく進化したPRIDEの試合を見ているかのようで惹き付けられた。アクションのプロフェッショナルの頂上対決。この二人だけだと普通の黒社会アクション映画に仕上がりそうなところを、サイモン・ヤムがドラマ部門でぐっと引き締めるバランスが、この映画をより印象的で余韻の残る作品に仕上げているような。
それぞれの登場人物の、完全に黒白がつかない善と悪の部分がプリズムのように入り混じる部分が描かれているところが、「クラッシュ」と重なるようにも思えました。中でもやはりヤムヤムの清濁入り混じった人物像が秀逸。

数年前に飛行機の中で見て大爆笑したものの、もう二度とお目にかかれないと思っていた映画が、日本でもDVDリリースされていた。素敵!邦題もこの映画のばかばかしさを体現していてナイス。これは本気で面白いです。設定は報道番組のチームだけど、やっていることは完全に中学生。このようなばかな映画を真剣に作る人たちがいる時代に生まれることができて、本当に良かった。
ウィル・ファレルの濃さと同レベルに濃い人たちが画面にひしめきあっています。もう、中2男子だらけ。そしてベン・スティラールーク・ウィルソンヴィンス・ヴォーンジャック・ブラックティム・ロビンスという、カメオ出演の顔ぶれだけでも、この映画の独特の魅力が伝わるかと思います。