再会の街で

出口が見えない真っ暗な長いトンネルの中にいるかのような主人公の姿に、「ううむ、どうしたものか・・・」とドン・チードルと一緒になって真剣に悩んでしまった。主人公の絶望の理由は非常に納得がいくし、その悲しみは、第三者には計り知れないほど深く重いということも分かっている。看過することもできず、果てしない闇にこもった旧友の孤独な背中のうしろに立ち尽くして、一体どうしたらよいのだろうと、ほとほと困ってしまった。
いっぽうのチードル氏にしても、俯瞰してみれば順風満帆に見える人生ながらも、小さなささくれがあちこちにあるところがリアル。彼の問題の多くは、他者にたいしてほんの少し心を閉ざし気味になっているところに起因しているので、それを打破することで、なんとかOK。そんなふたりの葛藤のなかに一緒に身をゆだねマンハッタンを呆然とさまよいつづけるような感覚にしばし浸り、映画が終わったあとは、なんとなく、ままならない人生と少しだけ折り合いをつけられそうな気持ちになりました。
ドナルド・サザーランドが、さすがの貫禄。彼とキーファーは、人を叱りつけたり言うことを聞かせる迫力にかけては全米No.1の親子だと思った。