潜水服は蝶の夢を見る Le Scaphandre et le Papillon

見えるし聞こえるし意識もはっきりしているのに体が動かない、という病にある日いきなり冒された人生。その状態にあることの苦しみや絶望は観るものの心をただひたすらぐっと締め付けるけれど、思い出や想像力って人間に与えられた美しい羽なのだなあと改めて知らされる部分で、歓びにも似た言いようのない感情が揺さぶられて涙がとろとろ流れ続けた。
発症後、自分に何が起きたのかまったくもってわからない、という状態で戸惑う主人公の目線から始まる映像が非常に臨場感があって、そういう状況でも美人が目の前に来たら「おっ、いい女」と考えつつ胸元に目線が行くところが、愛嬌があってよかった。全体的にそういうユーモラスな空気を含んでいるところが、とても好きでした。