マイ・ブルーベリー・ナイツ

王家衛を敬愛してやまない新人映画監督が、リスペクト王家衛スピリット満載で撮ったデビュー作。ザ・王家衛な独特の光のかんじ、スローモーション、フワっとした人物造形、遠回りの恋。「夢二のテーマ」が流れるにいたっては、ウォン・カーウァイを意識するにもほどがある!と笑ってしまった。と思ったら、ほかならぬご本人の映画だったYO!
うそ。しってた。でも、それくらい、なんというか、王家衛のセルフ・パロディのような印象を受けた。ジュード様+ノラたん+王家衛+NY+ちょっとしたロードムービーという、好きな要素だらけの映画なのに、このいまひとつ乗り切れないモヤモヤ感は何だろうとずっと考えていて、結局わたしは「恋する惑星」をあまりにも愛しているがゆえに、同じベクトルのこの作品をまっさらな気持ちで楽しめないのであろう、という結論に。

いかにもカーウァイ作品の登場人物が言いそうな気のきいたような台詞や独白は、英語で聞くとちょっとナイーブすぎてもぞもぞした。トニー・レオンや金城さんやレスリーは、カーウァイのナイーブな世界にリアリティを持たせる絶対的な守護神だったのだなあと実感。
が・しかし。なんだかんだ言ってもラストはキュンときた。ギュンギュンきたね!これからは、常に口の周りに甘いものの食べカスをつけて生きていきたい所存です。

ナタリー・ポートマンはやはりホリー・ゴライトリーを演じるべきだと、この映画を見ても強くそう思った。