アジア旅 五日目 ルアンバパン

marik2008-05-27

朝五時すぎに起きて大きな通りへ向かうと、歩道には喜捨するひとたちが点々と座り、観光客もちらほらと混じっていた。タイから来たと思われる観光客グループは、先月プーケットで沢山みかけた男おねえさんの集団で、薄化粧でキャアキャア写真撮ったりしていて微笑ましい。やがて遠くから僧侶たちが列をなしてやってきて、肩からぶらさげた容器に、沿道の人たちが炊いた米のようなものを喜捨していた。朝の薄い光の中に何十人も続々と歩いてくる僧侶のオレンジ色の袈裟が尊い様子で映えていて、彼らの裸足の足音だけがひたひたと響く静寂とあいまって、いまだかつて経験したことのない類の安らかな気持ちに包まれた思い。子犬がちょろちょろとしているのも愛らしかった。ルアンバパンの町のよさは、朝の光と夕暮れどきにより際立つなあと考えつつ、あのお米は集めたあとどうなっているのかしら、と思いながら道すがらのぞきこんだお寺では托鉢帰りのお坊さんが、集めたお米を仏像にお供えしていた。

宿に戻ってまた眠って、9時頃に起きて朝ごはん。メコン川をぼおおおおっと見ながらスクランブルエッグをいただく。ルアンバパンの町にはあちこちに鶏がいて、工事現場なんかにもうろうろしていて、じっと見ていると「あんだよ」という感じでこちらを一瞥したりするんだけど、あのひとたちの卵なのかな。卵そのものの味わいがふくよかでとても美味しい。

大通りに出てぷらっと歩いたところでカフェでパパイヤシェイク。華僑の家族経営っぽいお店で、ちっこい子どもがかかとの高い靴をはいてよろよろ歩いていたり、テーブルの下で子猫が母猫にじゃれついたりしているさまをニヤニヤしながら眺めたり、本を読んだりしていると大きな雷鳴。やがてたたきつけるような雨が降りだし、しばらく動けそうもないのでペプシを追加し、雨に濡れる街角をずーっとぼーっと眺めていた。

小1時間ほどで雨が上がり店を出て、行ったことのない方向へと足を伸ばしてみる。カオ・ソーイ屋を発見し、はりきってオーダー。米の平べったい麺に坦坦麺みたいな肉味噌が乗った美味なる麺。食後、あたりをうろうろし、民家が立ち並ぶ路地を、生活の気配を感じとりつつそっと歩く。雨上がりの草木の生々しい匂いに囲まれて、子どもの頃の夏の日の探検ごっこのような、ワクワクした気持ち。あと、一眼レフで写真撮るのってやっぱりものすごく楽しい。

スパの予約時間になったので、メゾンスワンナプームホテルへ。ホテルのレセプションで応対してくれたお嬢さんはタイ人で、バンコクから転勤してきてまだ2週間とのこと。ここはすごく穏やかな町でなごむわよねえ、ということを彼女も言っていた。ホテルの離れにコテージがいくつかあり、その中の一室へ。オイルマッサージとボディスクラブ、フェイシャルの組み合わせ。これで100USドルちょっとなので、このスパのクオリティを考えるとかなり嬉しい値段なのだけど、ラオスの物価と対比すると異次元プライス。しかし素晴らしいメソッドと技術だった。極楽!至福のトリートメントの後は、池に面したコテージでしょうがのお茶をいただきながらボケー。疲れOLのリゾート地として、ルアンバパンはもっと注目されてもいいような気がした。CREAあたりで特集するとよいと思う。ひとり旅の西洋人女性もすごく多いし、正直、今までの一人旅史上もっとも居心地のよい場所だった。ほかの場所だと結構すぐにご飯食べる仲間ができたりしてワイワイ楽しくやるのだけど、ここではあえて一人でこころゆくまでぼんやりしたい、という気持ちになる静けさ。

軽〜くなったからだとペカペカのお肌にウキウキしながら町の中心部へと戻り、マンゴーシェイクを飲んで一息ついてから日が暮れるまで散歩および撮影。路上で遊んでいるちびっこたちが、私の顔を見るなり「サバーイディー、サバーィディー!(こんにちわ!こんにちわ!)」と叫びながら寄ってきて、私と手をつないでひとしきりピョンピョン飛び跳ねたあと、また何事もなかったかのように自分たちの遊びへと戻っていった。かわいい。あるいは通りすがりのおじいさんがはずかしそうに「サバイディー」と声をかけてきたりするので、なごむ。鶏肉と野菜を炒めたものとご飯とビアラオで夕食。ナイトマーケットをぐるりと回り、またしてもシルクの布や、素朴すぎる猫の置物など購入。ホテルに戻って就寝。