ラースと、その彼女

ラブドールを恋人だと主張する男性のすべらない話(トキエ)かと思いきや、人の心のやわらかくて温かい部分だけで紡がれた、上品で優しい作品だった。いい人ばかり出てきて、それが押し付けがましくも偽善的でもない、絶妙な温度が素晴らしい。

ラースを男性として意外と嫌いじゃない気がして、彼の同僚の女の子の気持ちにいちいち同調してギュンとした。すごく変わっているしその心に立ち入ることが難しいのは分かっていても、でも嫌いになれない、みたいなところとか。二人とクマのぬいぐるみのシーンが最高に好き。

でも、もしも私の近くにラースとその彼女がいたとしたら、あの街の人たちのようにすごく優しい対応ができるかしら、と考えてみたら、ちょっと、自信が持てないかもしれない。