パイレーツ・ロック The Boat that Rocked

marik2009-11-11


もー、もー、だいすき!リチャード・カーティスの作品はやっぱりいつだって間違いない。彼が描く、人間の善き部分にひたすら光をあてる世界を心から好きだと思う。いつもの多幸感とほろ苦さが入り混じる人間模様のなかに、音楽への尊敬と愛情と感謝がみっちりと詰まっていて、とてもあたたかな気持ちになる映画だった。もちろんサントラ版ゲット。

それにしても、フィリップ・シーモア・ホフマンの演技をこんなにリラックスして見ることができるのは初めてかも。にこにこ安心して見ていられる人を演じているフィリップ・シーモア・ホフマンって珍しいような気がする。Fワードのくだりとか、後半のDJのシーンとか最高だった。音楽を心底愛する、熱くワイルドな人情家のアメリカ人役はきっと、ジャック・ブラックもやりたがっただろうなあ(そして実際に演じたとしたら、ものすごくやりすぎちゃうんだろうなあ、と勝手に妄想。それも面白そう)と思った。あと、エマ・トンプソンケネス・ブラナーが同じ作品に出ていることに、なんだか見ているほうが緊張してしまった。

今ではすっかりラジオを聞かなくなったけれど、この映画のなかで描かれていたように、ラジオが一日の楽しみのなかのひとつであった時代って、わたしもあったあった!と懐かしくなった。チェッカーズの新曲を録音しなきゃ!と録音ボタンに指をかけてスタンバイした思い出とか、勉強しながら聞くオールナイトニッポンとか、途中で必ず寝てしまうジェットストリームとか。娯楽の選択肢が尋常ではないくらい広がっている今の時代も幸せだと思うけれど、手元の娯楽がさほど多くないなかで何かを楽しむ時間をいつくしむ喜びも、確かに存在していたということを思い出した。