かいじゅうたちのいるところ

marik2010-01-21


思っていた以上に、心の深いところを揺さぶられてしまった。見終わったあともずっと、愛おしさとやるせなさが居座っていて、かいじゅうたちの吠える声などを思い出すたびにうっかり涙ぐんでしまう。導入部の、マックスくんがべそをかいたり暴れたりする姿に、「ああ、さびしいこどもが泣いている・・・せつない」と近所のおばさん気分で涙し、後半はかいじゅうたち(とくにキャロル。いかんともしがたい器の小ささが、やるせなくも愛おしい)一員のような気持ちで、どうしてうまくいかないんだろう、と悲しくなってジョンジョン泣き続けた。エンドロールで流れるKaren Oのハッピーな歌にも涙がとまらず。

あのシンプルで素敵な絵本から、よくぞこんなにも自由にキャラクタ設定やストーリーを膨らませたなあ、と感嘆。かいじゅうたちのフォルムがもう、ズルい!ダークなテレタビーズといった趣のぽってりとしたたたずまいに、もふもふのうす汚れた毛。そんな着ぐるみたちがはしゃぐ光景のシュールさにニヤニヤ笑いがとまらず、彼らがしょんぼりしたり気まずい空気になったりするさまにはいちいち胸が痛んだ。子どもの不穏さや不安定さ、想像力の翼の自在さが生き生きと描きこまれていて、「かつて自分もここにいた」と、くすぐったくてあたたかくてさびしい気持ちになりました。
とくにギュンときたのが、キャロルがふくろうに意地悪を言うところ!あと、マックスがキャロルに、ママに言われた言葉をそのままぶつけるくだりも。あのどうしようもない感じがせつなくて、子どものころの世界にはああいう剣呑さがたしかにあったことを思いだし、そういう感情を掘り出してきたスパイク・ジョーンズはすごいなあと思いました。

フクロウとかいじゅうたちとのやりとりが、ビーグル38の「キミそれはエアロスミスや」っぽくて可笑しかった。あと、この予告編の最後にも出てくるけど、犬!犬がウケた。