蘇乞兒 (台北にて鑑賞)

marik2010-03-11


題名を直訳してしまうと日本語では微妙に不適切な表現(『beggarの蘇さん』)ですが、武術の達人・蘇燦のお話。好人物ですぐれた武術家である主人公が不幸な出来事によりどん底に落ちてやさぐれて、やがて再生し、格闘技の試合で外国人と勝負、という『霍元甲』的なひな型。

蘇燦役は趙文卓。ずっと前になにかで見てインパクトがあった気がするのけど、思い出せない。『金玉満堂』なのかな?義理の弟役のアンディ・オンが強烈で、そりゃあ顔色も悪くなるよね!という無茶なことばっかりやっていた。蘇さんの奥さん役の周迅ちゃんがあいかわらず魅力的。ミシェル・ヨー姐さんが出てくると、画面にさっと涼やかな風が吹くようでかっこよかった。

部分3D映画ということで、はい、ここから3Dですよ〜という場面になるとスクリーンの右上に「3D」というマークが出るのでそそくさとメガネをかけ、3D場面が終わると「3D」にバッテンがついたマークが出るのでメガネをはずす、というくりかえしの面倒くささが可笑しかった。3D映画ってもっと、いにしえのキャプテンEOでの「わー、マイケルに蹴られた!」「アンジェリカ・ヒューストンがこわい!」みたいなどきどきが止まらない臨場感なのかと思っていたけれど、もっとマイルドな、たんに立体感が強調された映像というかんじなのですね。

前半でジェイ・チョウさんが出てくるところはたしか全部3Dだったと思う。メガネをかけるたびにジェイ・チョウが目のまえに現れるなんて、魔法のめがねだよ!毎日かけて歩きたいよ!扮装がなんだかすごいことになっていて、立体感あふれる様子で最初に出てきた瞬間はちょっとウケた。武神なので、すずしい顔してひょいひょい相手をいなすところが、おなじみのジェイの雰囲気。後半でまたちょろっと顔を出して酔拳を披露する場面はかーなりクール、クール!とうふ屋の車をぽやーんとした顔で運転していた子が、いまやユエン・ウーピンの作品で酔拳やってるなんて感慨ぶかいものが。そして次回スクリーンで彼のすがたを見るのは、ミシェル・ゴンドリーの作品でだなんて、めまいがするほど楽しみ!

つっこみたいところが全体をとおして30箇所くらいあったけど、3Dジェイ・チョウ体験としてはとても楽しい映画でした。