瞳の奥の秘密 The Secret in Their Eyes / El secreto de sus ojos

私の映画ソムリエにずっとオススメされていて、日本での公開を心待ちにしていたんだけど、やー、期待以上に素晴らしかった!!
25年前の殺人事件の回想と、事件を担当した裁判所の元事務官がそれを小説に書こうとしている現在が入り混じった作りになっていて、初めて見るアルゼンチンの役者ばかりなので、25年前のシーンを最初に見たとき、そっくりな若い役者たちをよくぞ見つけてきたなあと勘違いしちゃった。同じ人たちなのよね、もちろん?老けメイクが巧みなのかな。
なんだかとっても大人っぽくて品のある映画で、筋書きも、登場人物それぞれの動機づけも、カメラワークも音楽も完璧。そして瞳がどうこうというタイトルなだけあって、ちょっとした目線や目だけで語る演技などの繊細さが好ましい。愛する人を失った悲しみと虚しさ、復讐の是非、といった、事件にまつわる切なさと、主人公のさまざまな逡巡が織成す人生のやりきれなさがひたひたと胸に迫って、でも後味は悪くなくて、観終わったあとは上質なワインでほんのり酔ったようなぼんやり感に包まれてしまった。