最近みた映画

marik2012-03-13

小説を読んだあとにスウェーデン版を鑑賞したところかなり退屈だったので、やっぱり内容を知っているとつまらなく感じるのは仕方ないかな、と思ったのだけど、こちらのフィンチャー版は、たとえ展開がわかっていても非常に楽しめました。エピソードの取捨選択がポイントなのかな。あとはスピード感と。オープニングのKaren OのImmigrant Songからすでに心を持っていかれてしまった。クール!

わたしが悪かった。『アンチクライスト』を機に、もうラース・フォン・トリアーの作品は金輪際観るまいと心に誓ったのに、予告編の映像の美しさと、シャルロット・ゲンズブールにつられ、のこのこと観にいったわたしの判断ミス。途中までは、あれ、これ意外とトリアー史上いちばん平気で観られるかもー、と思い、まさかのハッピーエンド?とまでのんきに考えていた浅はかさをあざ笑うかのような過去最大の後味の悪さに砂をかむような思いで映画館を後にしたのでした。

これまでの作品は、登場人物の個人的な資質を要因として起こる悲劇だったけれど、今回は、もう、トリアーが全人類にケンカを売っているレベルの追い詰めかたで、去年の今頃に幾度となく味わった、連日ゆれ続ける大地や爆発する発電所の映像が駆り立てる逃げ場の無い恐怖が呼び起こされたりして、なんだか不思議なきもちがしました。しかしキーファーにはああいう状況でこそジャック・バウアーっぷりを見せつけてほしかったなあ。

いつか見た美しい悪い夢のような不穏な映像はすごくよかった。そして、微妙にイヤ〜な感じの人物描写が本当に見事。結婚式のぐだぐだ感や、ダンストの面倒くささの描き方が絶妙。そこで風呂に入るなよ!っていう。

  • 逆戰 @香港

ジェイ・チョウ先生が生き別れの兄ニコラス・ツェー&父親に会いにクアラルンプールに行って、なんやかんやあって細菌テロをもくろむ組織とからんだりして大暴れ&ところどころホロリとさせるヨ、みたいな話。
わたし、この作品で初めて、大好きなスターの周杰倫が出てる!という感覚を持たず、アンサンブルのなかの俳優の一人として見ることができた気がします。もっさりとした熊っぽいビジュアルが好み。ちょっと、彼のキャラクタの立ち位置というか、正義と家族の情のあいだで揺れ動くそのブレ具合が微妙だったり、強引すぎる偶然の連続や皆さんの不死身っぷりなどつっこみどころは多々あれど、豪快なアクション(アクションがとにかくしつこいと思ったら、銭嘉樂だった)とずしんと心に重いものが若干のこるバランスが、なんとも好きな映画でした。フィルメックスあたりで日本でも観られそうな気がする。

  • 高海拔之戀II @香港

これ、香港についてすぐにバスの広告なんかで見て、またえらいベタな恋愛ドラマの宣伝だなー、と思ってたんだけど、よく見たら古天樂だしサミーだし、しかもジョニー・トー作品なんだ!と驚き、いざ映画館に向かいながらも、そういえばIIと謳うからには高海抜之恋パートIが、『黒社会1、2』のごとく存在するだろうに、いきなりパートIIから見ても分かるものなのかいな、と不安に思ったのでした。高海抜之恋IIというのは、ああ、そういうことなのね、と劇中で判明した次第。
スターであるところのルイスが結婚式で嫁が『卒業』状態になっちゃってがっくりきて、酒びたりで香格里拉にやってきた!というのがはじまり。こてこてのコントっぽいところとぎょっとするくらいヘビーな局面が入り混じった『ノッティングビルの恋人』のような。
この主人公、10年前にアンディ・ラウ先生が演じたらめちゃくちゃハマっただろうなー、と思いました。ルイスもいいんだけど、一箇所だけ、彼が作った歌が流れるシーン(♪ソソソソ、ゥラゥラゥラゥラ、ドゥォレミレドゥォレミレ〜とかいう、ドレミ音階がそのまんま歌詞)が、ちょっと面白くて、何年か前にお台場のZeppイーキンやイーソンとかのライブと一緒に執り行われたルイス氏のライブを思い出し、可笑しくなったりしたのでした。