エジプト・中東シリーズ 四日目:シャルム・エル・シェイク

シャルムエルシェイクは常夏リゾート、というイメージを抱いていたのだけど、冷やっこい!ひそかにヒートテックご着用で朝ごはん。周りの西洋人たちはもちろんノースリーブ。彼らとは体感温度が常に15度くらい違う。でも食後にビーチを散歩すると、太陽の下だといい感じにあたたかいので、波うちぎわのパラソル下にチェアを整えてもらい、部屋に戻って水着に着替えてみる。空港から近いので、タイのサムイ島とおなじく飛行機がすぐ近くを何度も飛んでいくので楽しい。飛行機のおなか可愛い。エジプト航空かな。たぶんこの写真の瞬間、機内では普通に携帯で話しているひとが何人かいると思う。

モヒートを傍らに波の音を聞きながら読書。人生で一番すきな時間!エジプトに来て以来初めて、ようやく、心の平安を得た思い。午後からのシュノーケリングツアーとか体験ダイビングとか、今から申し込みできないか一応きいてみたけど、今から一人で行きたいならボートをチャーターするしかない、と言われて却下。
今回あまりにも突然きめて出発した旅だったので、紅海およびシナイ半島での時間配分や事前の手配がちゃんと練れていなくて悔いが残る。モーゼが十戒を受けたというシナイ山も行ってみたかったし、そもそも紅海でダイビングをした友だちの話を聞いて以来、紅海で潜るのが憧れだったというのに。シャルムエルシェイクはヨーロッパからも直行便があるから、紅海エリアだけまたいつかゆっくり、季節がいいときに行こう。ホテルのビーチですでにこの透明度なのだもの!魚が写ってるの見えるかな。

次の日にはイスラエルに向かうつもりで、国境までの車を手配。コンシェルジュやベルキャプテンに相談したら、ホテルで掲示されている定価よりもはるかに安い車をアレンジしてくれて助かった。もう、エジプトでタクシーの交渉とか二度と自分ではしたくない。今おもうと南米は本当に楽だったよ。南米ラブ。
とか野暮用を済ませつつ、あとはずっとビーチで読書。エルサレム行きに備えて遠藤周作の『死海のほとり』という作品を読んでおりました。エルサレムで暮らす旧友を訪ねた主人公が、イスラエル国内のキリストの足跡をたどりながらキリストとは一体どういうものなのかを語らい考える、みたいな話。主人公も友人もカトリックなのだけど、ふたりとも信仰心が揺らいだり薄れたりしていて、キリスト教に対して皮肉な思いを抱いているところがあり、イスラエル内で現在キリスト関連の名所とされている場所について友人がことごとく、あれは後付けで定められた場所であって本当にその場所だというわけではない、というようなことを言うので、観光気分はけっこう盛り下がります。ただ、遠藤作品に散見される、神を信じるということはなにか?という自問自答によりそって読んでいるとけっこう惹きこまれます。
この二人の旅と並行して、イエス・キリストが聖書に書かた姿とは異なり、人々に求められる奇跡など起こすことができず失望され、さげすまれ、弟子にも見捨てられ、オリーブ農園でとらえられてゴルゴダの丘へと十字架を背負っていくまでの物語が、徹底的にみじめに描かれており、やるせない。ただ、こっちの部分の物語はのちにエルサレムに行ったときに思い出すと、ことのほかぐっとくるものがありました。
読書の合間に目の前の海に入ってシュノーケリング。入ってすぐ大きな魚がけっこううろうろしていて楽しい!が、寒がり星人にとっては拷問のような水温。何度か水に入ったあと、たとえ太陽にあたっていても濡れた水着をつけたままで座っているのが辛すぎて一旦部屋にもどったら、ものすごい形状のものがお出迎え。何これ!
コワイヨー。

後ろから見るとこんな感じ。トド?へび?へび年だから?このような斬新なベッドメイクというか、かけぶとんアートというか、はじめて見た。タイあたりの華麗なるタオルアートもびっくりの斬新さ。ピンクの部分は庭に咲いてる花なので可愛い。

着替えてふたたびビーチに戻り、日が暮れるまで読書。そういえばシャルムエルシェイクでは、わたし以外に一人たりとも東洋人を見かけなかった。今や世界中どこにでも進出している中華な人々さえも。シーズンオフなのかな?部屋に戻るともちろん上の写真の子がお出迎えしてくれて再度ビビる。けっこう高さがあるので暗闇にそびえたつ感じ。解体して普通のベッドにもどしました。
シャワーを浴びて、ルームサービスでビール&カラマリなどいただき、のんびり本を読んでいたらホテルのスタッフから電話があり、「お湯大丈夫ですか?」と言われ、一瞬、ん???となり、「あ、コーヒーとか紅茶とか今べつにいらないんで大丈夫です」と答えたら、「今朝レストランでお湯のことおっしゃっていたので、心配になってお電話してみました」と言われ、ああ、と合点。
朝食のとき、ホテルのスタッフが朝食についてご意見をお聞かせください、と話しかけてきて、ほかにもなにか当ホテルの気になる点とかありますか?と聞かれたので、そういうえば夕べシャワーの途中でお湯が出なくなっちゃったのー、と笑いながら話していた相手だった。今夜はちゃんと最後までお湯でましたよ、ご心配いただいてありがとう!ということで一件落着。朝の会話のときも、「うちは設備が古くて、テレビもブラウン管だしびっくりしたでしょ?」とか真面目な顔で自虐ネタをぼやき続ける面白い女子だった。