キャプテン・フィリップス

手堅い、とてもよくできた映画。しかしこれ、今までに観た映画で一番こわかった！父親が主人公と同じような船種のキャプテンかつ数年前に海賊に襲われた（アジア海域での物盗りメインの海賊だったので、幸い甚大な被害には至らず）ことがあるうえに、今もまさに航海中なので、他人事とは思えなくて結構しんどかった。まさかトム・ハンクスに自分の父親（ガッツ石松レベルの天然）の姿を重ね合わせてハラハラする日が来るとは！出航前後の淡々としたお仕事の様子も、見慣れた聞き慣れた光景なだけに、その後の展開がリアルに胸に迫ってきて、なんとも不思議な映画体験だった。
漁師が海賊にならざるをえないソマリアの現状にも思いを馳せさせつつ、過剰にセンチメンタルには転ばず、対立の構図の描き方が絶妙なのが素晴らしい。海賊たちのたたずまいも絶妙。あと、ちらちらっと映るSEALsの人たちがいい男オーラむんむんで、ハリウッド映画のエキストラってしっかり体を作りこんでるんだなあ、と感心（＆超絶うっとり）してたんだけど、実は彼らは俳優ではなく元SEALsの人たちとのこと。やーん、素敵〜！と米国のプロパガンダにがっつり乗せられてしまった。