ムーンライト


エピソードも台詞も描かれている世界もきわめてミニマム。矮小化された表現の行間からあふれでる、孤独な魂の声にならない静かな叫びが印象的で、その寂寞とした人生にちらりと差し込む幾筋かの光をとらえた美しく切ない映画でした。ちょっと眠くなっちゃったのは内緒ね。
主人公の少年時代、高校時代、青年時代を描く3章構成で、1、2章はただただ気がめいりっぱなしだったんだけど、3章で「あらー、大きくなりんしゃったね!立派になりんしゃったね!」と一気に目が覚めた。いろいろあってすっかりタフな大人の面相になっているものの、母親や旧友と向かい合うときはかつての気弱な目つきがよみがえるところが繊細でかわいい。そしてめっちゃいい体!分厚い体の男子って大好きなんだけど(知らんがな)あんまり筋肉がもりっとしてるのは好きじゃないのに(知らんがな2)、彼の分厚くもしなやかな筋肉がみっしりついた体つきにはほれぼれ。そんなええ体の強面な男子の、クライマックスでの超ピュアな言葉に心が洗われる。この子には幸せになってほしいと心底おもいました。
ところどころで流れる音楽がけっこう存在感があって、Caetano Velosoの"Coucouroucou Paloma"が流れたとき、『ブエノスアイレス』だー!テーマも共通するところがあるし、オマージュなの?って思ったんだけどどうなのかな。
今回オスカーで助演男優賞を獲った『ハウス・オブ・カード』のひとは、あのドラマでのエレガントなエリート役とは真逆のキャラで、その化けっぷりにおどろきました。彼らが頭にかぶってるゴム素材っぽいキャップみたいな頭巾みたいなものって何だろう?