十八代目中村勘三郎襲名披露 五月大歌舞伎 夜の部

  • 義経千本桜 川連法眼館の場 (四の切)

この演目は何度か見たことあるのに、未だに狐忠信が出てくる時の花道の声(そっちに気を取られて見ると、いつの間にか舞台に忠信が出てきている)に惑わされてしまう。またやってしまった。母の日の前だからか、両親を慕う子狐の心が妙にハマってちょっと泣きそうだった。60歳を過ぎた菊五郎さんが、愛らしい子狐に見えてくるのだから、芸の力ってすごい。菊之助静御前海老蔵義経が並んだ佇まいが美しかった。

  • 鷺娘

玉三郎の衣装六変化にホワーっとうっとり。最後の激しい雪の中での瀕死の鷺の舞がもう、見えない何かの力で動かされている、特別に美しい人形のようだったよ。考えてみるとこれって日本版白鳥の湖みたいな話なのかしら。

  • 野田版研辰の討たれ

幕(たぶん、ひびのこづえデザイン。ポップで可愛い)が開くと走馬灯のような影絵。それだけでもう一気にテンションが上がる。でも舞台の上の人達はもっとテンション高い。NODA-MAPイン歌舞伎座。歌舞伎なのにこんなことを!という驚きは野田版鼠小僧で経験してしまったけど、話としてはこっちの方が好き。ただとにかく生きたいんだよ、という思いが切ない。仇討ちとかありえない!みたいに思っているお侍さん、きっといただろうなあ。いて欲しい。

生「夜なのにアーサー!」が嬉しかった。そして!喜多さんキタ!生喜多!あと、アンガールズとレギュラーとハタヨウクはこれを見るときっと嬉しいと思うよ。福助さんと扇雀さんのコンビ、大好き!勘太郎染五郎の立ち回りも格好よろしかったです。長年積み重ねてきた芸がきっちりある人達が、外したことをやる所が最高に贅沢で良いモン見せていただきました。