フジロックに行ってきました。バスでちゃちゃっと行ってレッチリのライブを見て、またバスで寝ながら帰ってくればいいよね、と往復バス2泊プランを気軽に選んだ自分たちを、少なくとも500回は呪いながら。体が鉛のように重いです。30代の体力を、過信してはいけない。

金曜の夜に新宿を出て、朝6時ごろ苗場に到着。車内での睡眠時間は1時間半ほど。会場近くの旅館でお風呂に入ると、混みすぎていて洗い場で行列という珍しい現象が。あんまり無いよね、全裸で行列って。とりあえずリフレッシュしたところで9時過ぎに会場に。うす曇りの空の下、グリーンステージ後方にビニルシートを広げてご飯&ビールののち、うたた寝。眠りながらずっと、寒い寒い寒いと思っていた。目覚めたらちょうど、WOLFMOTHERというオージーのバンドの演奏が始まった。オルガンの音色やクセのある歌声がかなりいい感じ。

またお酒を飲んで、会場をぐるりと散歩。ちょうど気持ちのよい太陽が出てきて、小川の冷たい水に足をつけながら夏の風を堪能。ホワイトステージを通りぬけようとしたらVALENCIAというバンドの演奏がちょうど始まり、好みの音だったので足が止まった。アメリカですくすく育った子たちの文化系ロック、というまっすぐな勢いが楽しい。

雨が降り出し、グリーンステージに戻るとThe Hivesが演奏中。ちゃんと聞いたのは初めてだったけれど、ちょっとすっとぼけた雰囲気と熱い演奏にかなり好感を持ちました。

夕方、雨がどんどんひどくなり、心が徐々に折れ始める。眠気もピーク。屋内でJunior Senior。思った以上にアッパーなノリで、ちょっと元気復活。
グリーンステージの電気グルーヴの頃には、なんとか雨も止み。卓球の声は好きな声ベスト10にいつでも入っているくらい好き。風貌がちょっと、エリック・コットに似てきたね。非常に楽しく踊りました。瀧の富士山コスプレ(最初、貴婦人のドレスかと思った)がバカでとてもよかった。

グリーンステージのラストはRed Hot Chili Peppers。2年ぶりの生チリペッパーズ。4人しかいないステージなのに、あの音の厚さはなんなのだろう。彼ら一人一人の人生の痛みや喜びが全て音に姿を変え、聴衆の心に迫ってくるようなパワーを感じた。一流というのはこういう人たちのことを言うんだなあ、と涙が出そうになりながら大騒ぎ。会場の地面が、ムツゴロウが生息していそうなほどの湿地帯と化していて、少しでもじっとしていると足が泥の中で固定され、しばし抜けなくなるのでした。

ふと上を見たら、会場の上空だけポカンと丸く雲が切れて星が輝いていた。アンソニーの歌声を聴きながら見上げる星空は格別。ジョン・フルシアンテが歌った、ビージーズの"How Deep is Your Love"がすごーく良かった。♪Hello Kittyをはらませちゃった〜、きっと可愛いベイビーが生まれるよ〜というアンソニーの即興ソングに爆笑。"By the Way"のキラーチューンぶりは、半端じゃないね。わたしの周囲は始終わりとおとなしめだったけれど、それでも全員いきなり♪Standing the line to see the show tonight〜の大合唱。アンコールのGive it Awayで燃え尽きたところで、最後の最後にスイッチ入っちゃったようなFleaとジョンのセッションがすごかった。1本のベースと1本のギターから出てくるだけの音なのに、本当に心がふるふると震えた。そしてライブ終了後の足元は、誤って田んぼに転落したような惨状。

ライブ後、ビールを飲んでご飯を食べて、まだ時間に余裕あるけれど早めにバス乗り場へ行こう、ということにしたら、まず出口に向かうのに進まない行列、会場を出た後に道路沿いを歩くだけなのに進まない行列、という事態。離れた駐車場に行くシャトルバス乗り場では、今並んでも2時間後の最終バスには乗れません、というアナウンスが流れていた。同行者は嵐の中の伝説のレッチリライブがあった第一回開催に参加して以来のフジロックだったのだけれど、人の多さにスマートに対応できないオペレーションが9年経っても改善されていないことに驚いていた。バスに間に合わない!野宿ありえない!と死ぬほど焦ったところでやっと開放され、疲弊した足腰にムチ打ってダッシュ

帰りのバスの中では2時間ほど眠れました。二日連続で垂直な姿勢での睡眠は、己の許容範囲を超えているということが判明。最初から座席が全部寝台になっている、中国の夜行バスが恋しかったです。たとえ布団がいつも湿っていても、あの乗り物は本当に合理的だわ。日曜早朝に新宿に着き、今なら素でゾンビ役を熱演できるテンションで解散。

確かにフジロックって、すっごく楽しい。バンコクカオサン通りにも似た自由な空気で。山の中で同時進行的に色んな場所でライブが行われているのがワクワクするし、普段聞かないけれど実は好きかもしれないタイプの音楽に、ふらりと出会えるのが素晴らしい。食べ物の屋台やイベントも夜通しあるようで、なるほど確かにテントなり宿なりにじっくり拠点を置いて、数日間のんびりと音楽と祭りに浸かるのが正しい楽しみ方だと理解できました。

ただ、一部のノンスモーキングエリアを除いて全体的にタバコ解放区なのが、日ごろ分煙化された世界で生きていると辛い。どんなに人が密集している場所でも吸いたい放題に吸っている人が多くて、ほんっとストレスが溜まった。あの副流煙地獄を思い出すと、次回も参加したいという気持ちがしぼみます。あと、もしも次に行くとしたら長靴着用にしなければ。可愛い長靴をはいている女子が多くて、見ていて楽しかった。探せばあるんだね、可愛い長靴。

そういえば、スキー場を見たのって生まれて初めて。すごい傾斜!あの斜面を、足に板をつけて滑るの?どうやって止まるの?勢い余って苗場プリンスにぶつかったりしないのか心配。