四大天王

marik2006-08-21

VCD鑑賞。香港のボーイズバンド(ボーイズ?バンド?)ALIVEを、グループ結成から追い続けたドキュメンタリー。発表前の音源が盗まれてネットに流されたり、バンドの内紛であわや解散か、というところまで生々しくとらえた問題作!という形態なのだけど、念入りな小細工が施されている映画なのです。

テレンス・インが好きなのでALIVE結成時からそれとなく注目していましたが、香港の歌番組で見た彼らのパフォーマンスのあまりにもあまりもな微妙さに、もともとCDを出していたテレンスはともかく彦祖ったらどうして今更こんな形で音楽活動を?とずーーっと疑問だったのですが、すべての答えはこの映画にありました。スッキリ、納得!香港の芸能ニュースで見聞きしていた不仲騒動の内幕はこういうことになっていたのか!と。アハ体験。彼らが初めてスタイリストに依頼して衣装合わせをするシーンがかなり面白くて、映画鑑賞後にこのジャケット写真を見ると、しみじみとしたおかしみがこみ上げてくるのでした。

これは呉彦祖の監督デビュー作になるのかな。何年か前に香港でLMFのライブを見に行ったとき、ステージの下でオーラを消した彦祖が、真剣な顔つきでカメラを構えてライブの様子をずっと撮影していて、ダニエル・ウーがなぜ、ここでカメラマン?とステージより彦祖に釘付けだったわたし。あの頃にはすでに映画の構想が頭にあったのでしょうか。映画学科の学生が思いつきそうなアイディアなんだけど、この大掛かりなドキュメンタリー風フィクションは、彦祖のこれまでの香港芸能界でのキャリアや人脈があってこそ実現した、彼にしか撮れない映画だと思いました。音楽界の現状を語る、という形で色んな人のインタビュー映像がちょこちょこ挿入されて、張學友、ニコツェ、BEYONDのPAULに張震嶽までサラっと登場するところが豪華。あと、恭碩良のお姿を久しぶりに拝見したら、なんだか貫禄がついていて驚き。ツイ・ハークの「ドリフト」(大好き!)で見たときは、はしっこい若者というイメージだった気がする。

この映画を新しい表現と見るかどうかは人によって評価が分かれるところだと思うけど、今までにどの国の映画でも感じたことがない、不思議な手触りの映画でした。スティーブン・フォンに続いてダニウーも監督業進出というこの勢いに、香港映画の未来を信じたいきもちです。