新春浅草歌舞伎

年始ご挨拶は愛之助さん。客席に下りてきて質問タイムという小粋な演出まで。歌舞伎役者と中華芸能人の、ファンに対する敷居の低さは、本当にすばらしい。

  • 義経千本桜 渡海屋 大物浦

数年前に歌舞伎座で見た、仁左衛門さんの鬼気迫る平知盛がとても印象的だった演目。シッチーの演技に深みを感じ、大人になったなあ、としみじみ。特に後半の、典侍の局がよかった。勘太郎さんの義経にただただうっとり。あの義経が出てくるだけで、舞台が凛とするような。
劇中の、魚の名前をもじった魚尽くしの台詞のやりとりがとっても楽しい。これは絶対に外国語に訳せないよなあ。「それではサヨリなら!」とか。ジェイ・ルービンさんあたりに挑戦していただきたい気もするけれど。

−身替御膳
勘太郎さんの愛嬌が炸裂していた。そして身のこなしや踊りはため息が出るほど流麗。義経千本桜のラストでの、「さらば」という義経の台詞にぐっと来たのだけど、こちらでの「さらばー、さーらばー」とヘロヘロした言い回しが、同じ役者が数十分の間に発した台詞とは思えないほどギャップがあって面白かった。
ちょっと不美人な怖い奥方役の愛之助さんの白塗り顔、誰かに似てる・・・と思ったら山崎邦正だった。愛らしさと恐ろしさのバランスが絶妙。舞台を見ている間ずっとニコニコが止まらない、楽しい舞踏劇でした。

新年に浅草に通うようになって今年で5回目になるというのに、いまだに駅から浅草公会堂に向かう道中の人出の多さを計算に入れられない。毎年、雷門を横目に血相変えて人波を縫いながら待ち合わせに向かいつつ、ああ一月だなあと思うのであった。

会場でいただいたちらしによると、6月には今年もコクーン歌舞伎が見られる。しかも「三人吉三」が!楽しみ!!

観劇後は大黒屋で天丼。ほんとにもう、日本っていいところだなあ。