リトル・ミス・サンシャイン

marik2007-01-26

先日飛行機の中でリトル・ミス・サンシャインを見ていて、のっけからあまりにもこの映画が愛おしすぎて、大好きすぎて、これは絶対に映画館で見なきゃダメだ!と開始10分で後ろ髪引かれつつも見るのをやめたあの時の自分、ナイス判断!はーー、本当によかった。見終わったあとも、心の中をあの黄色いバスがずっと、明るいほうへ明るいほうへと向かって走り続けています。

冒頭の映画タイトルが出る画面で、心底絶望した表情の伯父さんの顔のアップにSUNSHINEという文字が重なるところが、希望の予感を漂わせていて、その時点でもうウルっと来る。伯父さんがあのThe 40 Years Old VirginのさわやかDTさんと同じ俳優だなんて、とうてい思えない憂いが味わい深い。お兄ちゃんの微妙な表情の動きや、おじいちゃんのぶっちぎりの破天荒さ&たまにいいこと言うところがナイス。オリーブちゃんの邪気の無さも秀逸。あと、24シリーズのクロエがさりげなく出てきて"Copy that"って言うのがCTUっぽくて可笑しかった。

アメリカの作品に多く見られる、家族至上主義の思想には時として辟易することがあるのだけど、この作品での"We are family"というお母さんの言葉には「そうよそうよ、アンタたち 家族なんだから。仲良くね!」と近所のおばちゃんばりに会話に割って入りたいくらいだった。なんなら一緒にバスを押そうかと。人生の波は荒く、いけすかない人間にも沢山出会ってしまうけれど、家族という芯があればなんとか乗り越えていけるかもしれないね、というような雰囲気を素直に受け入れられるかんじ。そして、人はいろんなものをどんどん失って、無くすものが少なくなっていくほど大胆に、強くなれるものであるなあ、という印象を受けました。

こういう、ささやかながらも心に小さな足跡が残るような映画がアカデミー賞の作品賞にノミネートされるのって、なんだか健やかな感じでうれしい。