この前飛行機の中で、"Miss Potter"という映画をなにげなく見はじめたら、レニちゃん(ゼルウィガー)がイギリス人に扮していて、おっ、ブリジット・ジョーンズふたたび!と色めきたち、ユアン・マクレガーも出てきたので、わー「恋は邪魔者」コンビだ!とワクワクしていたら、けっこう真面目な映画だった。そしてミス・ポターって誰よ、と思っていたら、ベアトリス・ポターさんのことでした。ピーター・ラビットの産みの親の。

ピーター・ラビットをこよなく愛していた幼少時のわたし。シンガポールのどこかのデパートのウェジウッドの食器売り場にピーター柄の食器と一緒に展示している、ボックス入りの絵本セットがほしくてほしくてしょうがなくて、デパートに行くたびにいつも指くわえてじーっと見つめていたら、クリスマスの朝に枕元に置いてあり、しかも売り場にあったのと同じ、紙のケースに若干セロテープで補強アリのものだったので、サンタすげー!と感動したものです。今思えば、ピーター・ラビットシリーズは、初めてちゃんと読んだ英語の本だった。読みながら、「このおはなしを、わたしが日本語にしたいなあ」と思ったあの日から気が遠くなるような歳月が過ぎ、まだ同じようなことを考えてもがいているという。どうなのよ。

そんなことを思いながら懐かしさマックスで観ていたら、映画の中でポターさんが描くピーターやその仲間たちが、絵の中から出てきてひょこひょこと画面の中で動いたりするので大興奮してしまった。微妙なヘアメイクのせいか、レニーがおじさんみたいなおばさんっぽく見える瞬間が何度かあったのだけど、ぶつぶつ言いながら絵本を描いている様子などがキュートだった。湖水地方に行きたい熱が久々に再燃。

あと、同じく機内で観た「クイーン」がよかった。息子の離婚した嫁が事故で亡くなって、「彼女はもう、うちの人間じゃないから、別に私たちが葬式を出さなくても」と言いたくなる姑心理って橋田寿賀子の2時間ドラマっぽい普遍性があると思うのだけれど、その舞台が現代のイギリス王室となると、とたんに不思議な味わいがかもし出されるのですね。エリザベス女王がものすごーくかっこいい。女王という仕事へのプロフェッショナルな覚悟にぐっとくるし、スカーフを頭に巻き、一人で野山を四駆でかっとばす姿が最高にクール。そしてブレア首相の嫁のキャラクターの描写が、そこはかとなく面白かった。