ドッグ・バイト・ドッグ

marik2007-08-11

まったくもって好みの物語ではないけれど、サム・リーの映画としては「メイド・イン・ホンコン」に次ぐ傑作なのではないかと思いました。冷徹で暴力的な姿と、ときおり見せる無防備で弱さむき出しの表情が印象的。ただの暴れん坊ではなく、その背後にある失望や悲しみも繊細に演じていて、台湾の金馬賞ノミネートもむべなるかな。後半の鬼気迫る姿にもかなりシビれた。あああ、サム、よかった。いい俳優になってた。
エディソン・チャンをこんなもに魅力的だと思ったのは初めてかも。まさに野犬といったかんじの獰猛さ。人が人として生きることができない環境で育った悲しみが、うつろでいてどこか澄んだ目に宿っていて、共感は持てないながらもどこか心を揺さぶられるかんじ。そして、男前が薄汚れた格好をすると、男前がより引き立つの法則。
それにしても、もう、ほんとに、いやなものに満ち満ちた映画だった・・・。痛い痛いコワイ!ヴァイオレントな場面に何度も画面から目をそらしたけれど、とにかく生きるための暴力という切実さと重層的な物語には圧倒されたし、俳優の気迫に惹きつけられた。あと、ユキちゃん(林雪)が画面に出てくるとやっぱりホッとする。