人のセックスを笑うな

や、笑いませんヨ。アグレッシブな題名と相反し、ひとを恋しく思う気持ちがていねいに紡がれている、とても可愛らしく好ましい空気の映画だった。川原や山や田んぼなどの、広がりを感じさせる景色も心地よい。

蒼井優ちゃんの役柄にものっすごく感情移入してしまい、19歳の恋心がなせる一挙一動にうなずき、時にじわりと涙ぐんだものの、考えてみれば私が属する年齢層は明らかに永作さんサイド。永作さんのあの大人の余裕を見習いたい。そして松山キュンのさまざまなキューティな姿に、ニヤニヤ笑いを禁じえず。いいなあ。松山キュンのすべてが良かった。主要な役者4人それぞれが上手く炊けたおいしいお米のようにピンと立っていて、味わい深いハーモニーをかもし出していたような。女性がぐっと来る場面や、男性目線で見たらたまらないだろうなあと推測される絵面もあり、男女どちらの観客でもなにかしらツボに入る部分があるのではないかと、その構成の絶妙さに感銘を受けました。