ザ・ロード コーマック・マッカーシー

あらゆるものが死に絶えた景色の中を歩む父と子。旅行中にビーチやプールサイドで読んでいたのだけど、死滅した世界の様子や、極限状態の人間の姿に絶望的な気持ちになり、ああ、生きるってなんだろう・・・何のために生きるのだろう・・・希望ってなんだろう・・と、どよーんとした気持ちに覆われて本から顔を上げると目の前には光に満ちた光景が広がり鳥がさえずり波音がするという、非常に対極にある世界を行ったり来たりしながらの不思議な読書体験だった。荒れ果てた世界を描く文章は、どこまでも美しくてうっとり。句読点がほとんどない文章をこんなに上手く日本語にするのもすごい。