ゴールデンスランバー

すばらしき人情アクションミステリー。いい原作があっていい監督がいていい役者がいる、まっとうによくできた良い作品だった。
井坂幸太郎の作品の主人公にうっかり選ばれてしまうタイプの男性(素直でお人よしで人につけいれられやすいけれど、意外とここぞというときに度胸がある)はたいがい好みなのだけど、堺雅人がそういう人物を演じている姿を見られるのがとても贅沢でうれしい。ほほえましい歌声まで聞かれるなんて。話のスケールは大きくとも、なぜか等身大でごく身近な人の物語のように感じられるところが不思議な味わい。
最近ずっと、ゴールデンスランバーということばを聞くたびに、Golden slumber kiss your eyes Smiles awake you when you rise というマザーグースの詩が頭のなかをぐるぐるまわってしまっていたけれど、この映画を見たあとは、ビートルズの歌のほうがすごい勢いでぐるぐるまわっている。