トロッコ

一番はじめのショットからもう、リー・ピンビンの映像って本当に好き!と思った。そして彼が撮る、緑あざやかな花蓮の映像はなによりも心のごちそう。
芥川龍之介の「トロッコ」のあの、子ども時代に感じたうすらさびしい気持ちと家に帰る安堵感の絶妙なエッセンスを盛り込み、その「はじめてのおつかい」っぷりに涙がジョンジョン出た。お兄ちゃんってえらいなあ。
子どもたちの物語と合わせて、一人の女性の再生、父と子、家族のあり方がからむ構図がよかった。そして、日本の映画で、台湾と日本の歴史的背景についてこんなにもしっかりと語る作品ってわたしは初めて見たので、その心意気も好きだと思った。

チャン・ハン(チャン・チェンのお兄さん。台湾版ハチクロで修ちゃんの役だった)がさりげなく素敵な雰囲気。チャン兄弟はそろって素敵だなぁあ。あと、トロッコの男子がキュートでぐっときた。

すっごくどうでもいい話なんだけど、中学時代、国語の時間に教科書に載っていた「トロッコ」の朗読をする順番がまわってきたとき、「峠の茶店(ちゃみせ)」を「峠のサテン」と本気で読んでクラス中大爆笑だったことを、トロッコと聞くとどうしても思い出してしまう。愉快な時代だった。