Last Night at Chateau Marmont/ Lauren Weisberger

プラダを着た悪魔』のローレン・ワイズバーガーの最新作です。これ、彼女の全4作品のなかで一番おもしろかった!
マンハッタンでミュージシャンの夫ジュリアンと暮らすブルックは、病院の栄養士と高校の栄養カウンセラーをかけもちで働きながら、夢を追う夫を支えている。ジュリアンがレコード会社と契約し、デビュー作がまさかの大ヒット!突然セレブリティ生活に突入した夫婦の戸惑いとすれ違い。はてさて、どうなる?みたいな話。
ごくごく普通の一般人として過ごしていたのに、いきなりパパラッチやゴシップのターゲットになってしまう生活はなるほどさすがに大変そうで、ゴシップ誌に載ってるハリウッド女優のすっぴん写真隠し撮りなどを見てウケている日ごろの自分を一瞬だけど、ちょっぴり反省しちゃった。あらぬことをしきりにゴシップ誌にかかれて、「ごく親しい人間の話によると」なんてかかれると疑心暗鬼になっちゃうし、それはもうストレスフルだろうなあ。
しかしブルックがまた頑固というか、わたしが彼女の立場だったら、夫の大成功に便乗して速攻しごと辞めて毎日シャンパン浴びながら遊び暮らすと思うんだけど、彼女はかたくなに自分の生活スタイルを変えない。これまで通りのふたつの仕事をかけもちし続けて自分自身のスタイルを変えないことが、華やかな世界に身を投じた夫に対するちょっとした対抗心というか、彼女なりの自分の存在の主張の仕方というのは分からなくもないけど、もっと肩の力ぬいて生きようよ!と思ったのであった。とはいえ要所要所ではやはり夫とともに華やかな場に行ったりもするわけで、仕事を続けながらのそういう生活に徐々に軋轢が生じたりするのは避けられず・・・という問題も発生しちゃったりして、柔軟に、いま置かれている状況を楽しめばいいのにー、と思ったり。

ショウビズ界の実在の人物の名前がばんばん出てくるのもなかなか楽しい。とくにグラミー賞のくだりなど、おめかし準備段階からレッドカーペットから(このあたりの彼女の心理がもう、ものすごく大変なことになっていて同情を禁じえないんだけど)会場の様子など、読んでいてすごくわくわくした。