北米・南米シリーズ2012 Day 19: ブエノスアイレス

前日のタンゴレッスンはカフェテリアで行われており、朝はふつうに食堂として機能。誰もいないので厨房らしきところに行って「朝ごはんお願いしまーす」と声をかけ、あたたかいパンとコーヒーなどを出してもらって腹ごなし。
レセプションのCちゃんに教えてもらったホップオン/ホップオフ式の観光バスに乗ってみるべく、まずは最寄の駅Palermoからsubte(地下鉄)に乗車し、Catedralで下車。
観光案内所でバスのチケットを買えると聞いたので、ちょっと探し回って案内所の店先にいたひとに聞くと「ココジャナイ、アッチ」的なことを言われ、あっちってどこ〜?とさまよっていたところでそれっぽいバスが止まっているのを見つけて行ってみるとバス停には大行列。係のひとに聞いたら、そこのチケットオフィスでチケット買ってね、と言われ、ようやく正しい窓口に到着。チケットを買った際に乗れるのはあと1時間後と言われ、それまで周囲を散策することに。
ブエノスアイレスの映画といえば、王家衛の映画以外だとなんといってもマドンナの『エビータ』。あの映画の楽曲がどれも好きで昔よく聞いてた、というかgleeでカートが歌っているバージョンの”Don’t Cry for Me Argentina”は今でもしょっちゅう聞いているので、あのバルコニーを見に行くべし!と大統領府方面をめざす。
途中でカテドラルに入ってご挨拶。荘厳で美しい空間。大人っぽい顔だちの幼稚園児たちがわやわやと社会科見学に来ていてかわいい。
大統領府はカサ・ロサーダ(ピンクの家)と呼ばれるだけあって、赤みが強い色合いが青空の下に映えて美しい。エビータが演説したのは、中央からちょっとずれたこちらのバルコニーとのこと。

Have I said too much? There’s nothing I can think of to say to you〜と鼻歌まじりに歩いていると広場の一角でデモ。
バス乗り場に戻ると相変わらず大行列。後ろに日本人女性二人組が並んだので、バスを待ちながらおしゃべり。スペイン語を話せる彼女たちもバスのチケット買うのに散々たらいまわしになったらしく、バス停に着いた時点でかなりへとへとになっていた。
やっとバスが来た!と思ったらほとんど列が動かずにバスが出てしまった。お二人は、もう無理、これ以上待てない!今日はやめとく!(チケットは発券から24時間有効)と戦線離脱。わたしもやや諦め気味になったところで意外と早く次のバスが来て無事乗車。二階建てバスで市内めぐりスタート。さっき通ったカサ・ロサーダの前を通るところからスタート。国会議事堂の玄関のすぐ前に特設ステージが組まれ、ロック的なライブのリハーサルが行われていた。そういうのありなんだ?
バスから眺めるブエノスアイレスの街は欧州に似ていて、「南米のパリ」と称されるのむべなるかな。「あれ?何か月か前にこの景色みたよね?」と何度か思ったりくらい。ただ、パリよりももっとピリッとした雰囲気も漂っている。
とりわけ、アルゼンチンタンゴ発祥の地とされるボカ地区はあまり治安がよろしくない地域とのことなのだけど、カラフルな建物が並んでいてときめく。
ここぞ!といううきうきの観光名所があるわけではないけれど、ただ街並みを眺めているだけでホッとしつつ静かにときめき、不思議と心ひかれる。
エビータのお墓のところで降りてみようかと思ったけれど、このバス、一回降りると次のバスが満員である可能性が高いのでそのままスルーしてしまった。
最初にバスに乗ったところまで着くのに2,3時間かかったかな。楽しいドライブでした。

バスを降りて、ちょっと気になるタンゴシューズのお店に。履きやすくて見た目は色っぽいという理想的な靴がいっぱい。スペイン語しか話さないお店のひとが、あれこれサイズや履き心地などを面倒みてくれて素敵な一足を入手。日本に帰ったらどこか教室を探すのもいいし普段履きもいけるかな?という目論見で。

ホテルに戻ってまたもやタンゴのレッスン。前日とは違う先生で「日本人に教えるの初めてだよー」と言っていた。ちなみに、わたしの名前はスペイン語の「オカマ」という意味の単語に似ているため、スペイン語圏の人々に覚えてもらいやすいというメリットと、わたしの名を呼ぶときに皆ちょっと半笑いになるというデメリットがあります。
今日の生徒は3人。わたし以外はアメリカ人女子。ひとりはタンゴ経験ありの子で、話しているときはキュートなんだけど、踊り始めるといきなり女になるというか妖艶で、うっとりした様子になるので、これくらい入り込まなきゃいけないんだな、と学習しました。がんばる。
前日とはまた違ったレッスンで、音楽に合わせて簡単なステップなど。けっこうあっさりした内容だったので、最初にこれを受けていたら、なるほどなるほどー、って感じで、とくにハマることもなかったはず。めぐり合わせって面白い。
レッスンが終わったのは9時近くだったんだけど、夜ごはんはアルゼンチン牛のすき焼きを食べる、という固い決意をしていたので、スブテに乗車。ブエノスアイレスの地下鉄は、銀座線を作るときに日本から視察団が見に行ったくらいに古い歴史があるらしく、乗り換えたAラインの電車は明治時代にタイムスリップしたかと思うほどレトロだった。内部は木造で裸電球が灯っているという。ドアは手動。この電車にかなり興奮してしまい、ずっと乗り続けていたかった。

Congressoで降りて地上に出ると、昼間に通った国会議事堂の前でコンサートの本番が行われていて、旗とかなにやら標語がかかれたのぼりやらを掲げた人たちが大勢。政治的な集会兼コンサートなのかな?
夜道がめっちゃ怖いけど、コンサートの音楽が耳に届いているうちはなんとなく安心。徐々に人通りが少なくなり、地図もなるべく出さずに必死で目的地を探し、住所通りにたどり着いた!と思ったら、店舗がない!!え??見落としたのかな?としばらくうろうろしたけれど、見つからない。今までに地球の歩き方の情報をたよりにして幾度となく味わったがっかり感。
でも負けない!徒歩圏内にもう一件日本料理屋があることは把握ずみよ!人気のない夜道をまたビビりながら小走りですき焼きのためにひたすら進む。
今度はちゃんとお店が見つかり、入店したら日系人の店員さんが日本語しゃべってる。ほっとするひととき。お通しも美味。ビールも美味。そしてスキヤキ!豆腐!美味しい!和食はいいなあ。
大満足でお店を出て、タクシーでホテルまで。車の窓から眺める夜のブエノスアイレスもしっとりとした風情で美しい。