エジプト・中東シリーズ 八日目:エルサレム-テルアビブ-アンマン-ドバイ

前夜に強めのお酒をガンガンいただいたため軽い二日酔い。這うようにして荷造りしてチェックアウトして、スーツケースはホステルでしばし預かってもらってお出かけ。
日曜日のエルサレムは普通に賑やか。前日の日没までのゴーストタウンが嘘のよう。ガイドブックによるとミハエル・ネグリンのお店が近くにあるっぽいので探してみても、地図のとおりの場所に無いという、地球の歩き方の情報古いあるあるがここでも発動。そして近場の非常にさびれたデパートでさえも入口で荷物検査。

さらにヤッファ門まで歩いて旧市街に入り、アルメニア人地区をぶらぶら。古い町並みで迷子になるかんじが本当に楽しい。途中ですれ違った東洋人の女子に写真をお願いしたところ、同じく一人旅の日本人で、しばしおしゃべりして和む。じゃあ気をつけて〜!よい旅を〜!とお別れ。一緒にランチしたかったのに、もう時間が無いのだった。

すっかり慣れた感のある土産物屋ストリートをがーっと登り、旧市街を出てベーグル屋へ。ここに来てやっとイスラエルっぽい食べ物。サーモンのベーグルサンド、美味。
また急いでホステルへと戻り、前日にお願いしていた空港へと送ってくれる乗り合いタクシーを待つ。フロントに電話が入ったようで、「ドライバーが建物を出て道路わたったところで待ってるって。よい旅を〜!」と声をかけられてバイバイして、大き目のバンに無事乗車。一路テルアビブの空港を目指す!と思ったら市内をぐるぐると7,8か所立ち寄って新たなお客さんを乗せるので、乗車後1時間たってもまだエルサレムの中・・・エジプトの悪夢がよみがえる・・・。テルアビブの空港はかなり厄介なので4時間前には空港に着いていましょう、というサジェスチョンを受けて早めに出たとはいえ、なんだかはらはらするよ。
どうにかこうにか3時間前には空港に着き、荷物をX線に通すときに入国と同様に質問ターイム。「何しにイスラエルに来たの?」「イスラエルに知り合いがいたの?」「イスラエルでどこに行った?」「これからどこに行くの?ドバイ?何日いるの?なんで二日もいるの?長くない?なんでドバイに行くの?ドバイで何するの?ドバイで誰に会うの?どうしてドバイ行きのチケットを買おうと思ったの?ドバイのあとどこ行くの?」アンマン経由でドバイに行くのがどうもお気に召さない様子。このやりとりをまた3人の係員と繰り返したのだけど、3人ともガラの悪いティーンエイジャーみたいな女子で、入国のときと違ってなかなか横柄。
さらにスーツケースを開けてカメラとか充電器とか固いものは取り出されて検査。エルサレムで買った死海産の塩を使ったバスソルトが「危険物」なので、針で袋に孔を開けるか、別の箱に入れて送るか選べ、と言われ、心の底からばかじゃないかと思った。
おおげさな箱にぽつりとバスソルトを入れたら、係員の女子が鼻歌まじりに箱に花をたくさん書きはじめ、「これでピックアップするときに見つけやすくなったでしょ」と言っていた。なんか、わたしが見た若い係員のほとんどがこういうノリ。権威をふりかざしつつもユルいという。
チェックインカウンターで周りをぼーっと見てても、ユダヤ系と他の人種に対する厳しさの違いがあからさまで、うわあ、というかんじ。
スーツケースを預けたあと、小さなバスソルトが入った大きな箱だけは別の場所で預けよ、と係員に案内され、エレベーターか倉庫かよくわからないけど、そういう場所にぽつんとおかれた巨大な台車の上に「はい、そこまで行って自分でその箱を乗せてきて」と言われ、よくわからないまま箱を置きに行ったところで「行ってよし」とのこと。
セキュリティに向かうと、パスポートに黄色いシールを貼られ、「あっちに並んで」と言われ、あっちがどこなのかよくわからないまま人が沢山並んでいる列のうしろにつく。なんか普通になごやかにサクサク進んでいるわね、と順番が来たら、「あ、きみが並ぶのは向こうのほうだよ」と言われ、後方に後戻り。非ユダヤ人のセキュリティが別途もうけられていて、この列の者たちは、靴からポーチからチクチクねちねちと検査されるのです。
やっと検査が終わったところで係員の男子が"I'll show you the way. Follow me"とニコニコしながら確実にをう言ったのでついて行き、途中で無言で進路を変えてX線のゲートを通ったのでその後を通ったらX線がバンバン鳴るので、え、何ごと?と思ったら、「こっちじゃねえよ。あんたが行くのはあっち」と言われ、思わず出たね。テルアビブの空港で"F**k"って叫んじゃったよね。わたくしこれでもFワードは普段ほんっとに使わないので、頻発させたエジプトとイスラエルはある意味すごい。
パスポートコントロールは意外とあっさり。またアホなティーンエイジャーみたいな子がbluetoothで携帯で友だちとおしゃべりしながらバンバンとハンコを押してパスポートを投げて返して終了。
ユダヤ人によるユダヤ人のための国に勝手におじゃましちゃってすみませんでしたね!とプンスカしながら歩いていると、ミハエル・ネグリンのショップを見つけてちょっと機嫌が治る。久々に見たけどやっぱりかわいー!けど、ちょうど欲しいかんじの物がないのと、この国にあと1シェケルもお金を落としたくない気分で何も買わず。ガミラ・シークレットの石けんを街中とか空港で探したんだけど見つからなくて残念。
ロイヤル・ヨルダン航空に初搭乗。1時間弱のフライトなので紙パックのジュースをさくっと配って終了。一年半ぶりのアンマンが懐かしい。前回はこの空港で子どもたちに村上春樹の小説を読み聞かせしたのだった。
2時間ほどのトランジットののち、ドバイ行きに搭乗。ドバイ着は午前2:00前のフライトなのだけど、乗客の半分が乳幼児で、しかも皆めっちゃテンションが高いというすさまじさ。さらに着陸態勢に入ったときにおもむろに立ち上がって頭上の棚をあけて荷物整理をはじめる強者のおばさんもいたりで自由すぎる。
やっとこドバイ到着。入国審査ではルーペまで使ってまじまじとパスポートを確認され、税関では上記のとおり日本のパスポートを出したら他のパスポートの提示まで要求された次第。
銀行で余ったイスラエルのお金をUAEディルハムに両替しようとしたら「うちはこの国のお金は受け付けない」と言われた。仲悪いね!気持ちはわかる気がする!
スーツケースがわりと早く出てきたものの、午前3時をまわっても小さいバスソルトが入った大きな箱は出てこない。もういいや。ばかみたいと心の底から思いながら塩を待たずにアライバルホールへと向かった。
なんだかもう本当に疲れる一日だなー、とへとへとでタクシーに乗り込むと、インド系のドライバーに「フィリピン人だよね?」と言われ、ゲラゲラ笑いながら「日本人だよ」となごやかに話し始めたのですが。
ドバイは初めて、という話になったとき、ドライバーが「ドバイはいいところだよ。なんてったってfree sexだし」と言いだし、あれ?なんか英語の聞き間違い???
tax freeとか、なんか、聞き間違えてる?と思ったんだけど、「ビーチでもどこでも皆たのしんでるよ。きみもfree sexたのしみなよ」などとベラベラ話し続けていている。いや、このイスラムの国でそんな奔放なお話はありえないんじゃないかしら。SATC2のサマンサのエピソードがぼわーんと脳裏に浮かぶ。「そういう話は不愉快だからやめてくれます?」と言ったら「なんで〜?君も楽しめばいいんだよ〜」と続けるので「もうしゃべらないで。あなたと話したくない」と言ったら少しおとなしくなり、「ねえ、お腹すいてない?どこか寄ろうか?」と言ってくるので「や、いいです。疲れてるのでとにかくホテルに早く行ってください」「ほんとに?どこでも行きたいとこ行くよ」「ほんといいから。疲れてるの」とずっとこんなかんじ・・・。
さらにやっとホテルの近くまで来た!と思ったら、ホテルへと続くビーチ沿いの道がまさかの大渋滞。舗道にも人がわんさか。日曜の夜中というか明けて月曜の午前4時ちかいのですが。オイルマネーがつぎ込まれている系スポーツカーに囲まれて渋滞に30分ほどつかまってげんなり。まあ、こういう日もあるよね・・・。

やーっと到着したThe Sofitel Dubai Jumeirah Beachはさすがのラグジュアリー感で、スタッフも感じがよくって安堵。へとへとだけどとにかくお風呂はいってやっと寝たのが朝6時。
ちょっとしたネガティブなきもちとかいらだちとかが、別のネガティブさを引き寄せ続ける極みのような一日だった。空港行きの車が遅れそう、とイライラしはじめたのが引き金だったな、と反省。やっぱり常に機嫌よくにこやかに生きよう。