RIP Mr. Lee Kwan Yew

しょんぼり。政治家の訃報にこんなにも悲しい気持ちになるなんて。数日前に西加奈子の「サラバ!」を読んで(素晴らしい小説!読み終わったあと本をぎゅうっと胸に抱いてほろほろと泣いてしまった)、幼少期に自分の意志とは関係なしに暮らす異国での物の感じ方や、子どものサイズで受け止める異文化の鮮烈さといった部分にものすごく共感を覚え、80年代のシンガポールでの生活をちょうど思い返していた矢先でした。
厳格なルール(西城秀樹喜多郎が長髪という理由で入国拒否されたり!)、おおむね清潔な街並み、緑あふれる道路がいざというときは空軍の滑走路になるよう設計されている周到さ、そしてなによりも人種や宗教や母語が異なるひとたちが少なくとも表面上は極めて穏やかに共存している素敵さ。こんなすごい国をつくったリー・クアンユー首相(当時)ってすごすぎる!と幼心にも尊敬の念が芽生えまくりで、長じて留学先としてシンガポール大学政治学科を選んだのも、リー・クアンユーという政治家を生んだ国で政治理念を学びたい!という一心からでした(そこで学んだことはその後のわが人生にはいっさい活用されず。まあいいか)。
シンガポールの政治事情や彼の思想すべてにもろ手を挙げて賛成というわけではないけれど、それでもわたしのなかでは、あのすごいリー・クアンユーさん!という子どものころのキラキラしたイメージが強く残っています。あの小さな大国の礎を築き花を咲かせた偉人に心からの哀悼と称賛を。