インサイド・ヘッド

物や人に対する見方や世界そのものの感じ方を多少、あるいはドラスティックに変えてくれる映画に出会うことはときどきあるけれど、自分自身を見つめる目がこんなにも大きく変わる映画体験って生まれて初めてかもしれない。キッズ向けの愛らしいアニメーションの体裁で大人の心に深く食い込み、ときに凶悪なまでに泣かせにかかる、哲学と愛に満ちた作品でした。大好きすぎる!!!!

この映画に登場する脳をつかさどる5つの感情たちが、わたしの脳の司令室においても何十年ものあいだ、わたしがなんとか幸せに生きられるようワイワイ騒ぎながら作業を続けてきてくれていたのだなあ、と本気で思うようになってしまった。ピクサーの魔法おそるべし。
Joy以外はネガティブな感情なので、それってちょっと辛くない?って最初は思ったけど、そのいずれもちゃんと役割があるというのが物語を通して飲み込めるようになってるのが巧み。あと、両親(お母さんの声がダイアン・レイン&お父さんがカイル・マクラクランって渋い!)の指令室もちらっと出てくることで、年齢とともにそれぞれの感情や互いの関係性も成長していってるんだな、というのが見えるもの愛おしい。

わたしのJoy(たぶんこの2年くらいは梨の妖精のデザインを取り入れた装いで作業している気がする)はいつもものすごーくがんばってくれているし、Sadnessは人生に深みを与えてくれたし(ほどほどでお願いします)、Fearのおかげで世界を安全に旅することができて、泥酔してもちゃんと家に帰ることができるし(それは帰巣本能か)、Angerは時として頼もしいエンジンとなるし、Disgustは道しるべとなる。あああ、みんないつも本当にありがとう!You love me! You really love me!!という気持ちになります。(この文章、大人として大丈夫かな?イタくない?とFearが心配→いつものことよ、とDisgustが言う、というやりとりが今、司令室で行われているはず)

経験がそれぞれの感情の色の球となって蓄積されたり、形成された人格がそれぞれ島になっていたりするデザインも最高だし、潜在意識や抽象概念の世界、イマジネーションの国、夢の撮影スタジオに思考の列車とか、もう、わくわくが止まらない脳内探検。さらに自分の脳内に置き換えるとたまらなく楽しい!なかでも一番ウケたのはimaginary boyfriendですね。わかるわーー!意外な活躍っぷりもめっちゃ笑った。

そしてあやうく映画館で大声あげてむせび泣きそうな脅威にさらされた、あるキャラクターの活躍。あれはもうほんと反則!そんなの泣いちゃうもん絶対に!もう、口にタオルあてて必死で声を押し殺してびゅうびゅう泣いた。大人に刺さる切なさ。

エンドロールで流れるある生き物の脳内がとても的確で可愛くて可笑しかった。そして声のキャストにレッチリのFleaの名前を発見してびっくり。Mind copとかそんなかんじの役名なんだけど、帽子のことをだらだら話してたあのキャラクタかな?気になってFleaのフィルモグラフィーを調べてみたら、なんと!バック・トゥ・ザ・フューチャー2&3にマーティの友達役で出てたのか!知らなかったーー!!