ルーム


小説を読んだときの空気感や世界の見え方が寸分たがわぬ形で映像化されてて、エマ・ドナヒュー(原作者&脚本担当)すごいな、と思ったらもともと舞台の脚本とか書いてた人なのね。

ギリギリの環境と精神状態で、それでもどうにか子どもに愛をそそぐ主人公を死んだ目で演じるブリー・ラーソンが素晴らしい。あの生活のなかで、ほんとよくがんばったよ!偉いよ!と肩をたたいてねぎらいたい大賞。彼女のような極端な環境ではなくても、自分はよき母なのだろうかと悩み迷いながら子どもを育てるお母さんの姿は普遍的なものではないかと、わたしのエア母性が目覚める勢い。

ジャックの、小さな世界をすべてだと信じて受け入れてきた様子、むき出しの空を見た瞬間の表情、新しい世界で縮こまる姿、少しずつ体と心を慣らしていく柔軟さと限りない可能性のまぶしさに、行き場をなくしたエア母性が止まらずじょんじょん泣いてた。レゴの組み立ての熟練具合でさりげなく成長を感じられるなどの、細やかな演出もいい。

字幕でgrandpa, grandmaをじいじ、ばあば、と訳出するのが作品世界に全然合わないなあ、とモヤモヤしてたんだけど、どうなのだろう。